Meta広告に1週間で200万円使ってわかった、新規顧客獲得の厳しい現実 今回は、Meta広告に1週間で約200万円を使ってみた結果について共有します。 結論から言うと、かなり赤字になりました。 ただし、単に広告費を無駄にしたわけではありません。 これまで曖昧だった「新規のお客様を広告で獲得するためには、実際にどれくらいの費用が必要なのか」が、かなり具体的に見えてきました。 さらに、 ・既存顧客を除外した広告配信には意味があるのか ・Meta広告の機械学習は、どの段階から進み始めるのか ・新規顧客の獲得後に、何をする必要があるのか ・広告だけに依存せず、どう売上を伸ばしていくのか といった課題も見えてきました。 今回は、実際に多額の広告費を使ったからこそわかったことを、率直にまとめます。 広告費を大幅に減らしたら、利益が過去最高になった 僕は前年の10月頃から、広告費を大きく減らしていました。 月の広告予算は、およそ200万〜250万円です。 広告費を抑えた結果、利益は大きく増えました。 税理士の先生と決算前の数字を確認したところ、過去最高水準の利益が出ていることがわかりました。 利益が出ること自体は、もちろん良いことです。 一方で、利益が一定額を超えると税負担も増えます。 そこで今回は、決算までに将来の売上につながる投資をしようと考え、広告費を大きく増やすことにしました。 普段は1か月かけて使うような広告費を、1週間で使う。 採算が合わなくなることは、最初からある程度わかっていました。 それでも、一度思い切って広告を回し、新規顧客獲得の実態を確認してみることにしました。 許容CPAを5,000円から2万円に引き上げた 今回、広告運用で大きく変更したのが、許容CPAです。 CPAとは、1件の購入や申し込みを獲得するために使った広告費のことです。 これまでは、ノンターゲティング配信における許容CPAを、およそ5,000円に設定していました。 この範囲であれば、リピーターからの注文も含め、事業全体として利益を出しやすかったからです。 ところが今回は、許容CPAを一気に2万円まで引き上げました。 広告を配信してすぐに購入が発生しなくても、一定額までは止めずに回します。 2万円近く使っても購入が発生しない、あるいはその後も改善が見られない場合に、広告を止めるという運用です。 これまでなら早い段階で止めていた広告も、今回は意図的に長く配信しました。 結果は大赤字。しかし、新規のお客様は明らかに増えた 広告費を一気に増やした結果、予想どおり利益は大きく悪化しました。 広告単体で見れば、明確に赤字です。 一方で、新規のお客様はかなり増えました。 Shopifyでは、それぞれのお客様が何回目の注文なのかを確認できます。 広告費を増やしてからは、「初回購入」のお客様が毎日のように入ってくるようになりました。 つまり、利益を優先した以前の運用では出会えていなかった新規のお客様に、広告を届けられるようになったということです。 もちろん、新規のお客様が増えたからといって、今回の赤字がすぐに回収できるわけではありません。 その方が2回目、3回目と購入してくださり、長期的な売上につながるかどうかは、これから確認する必要があります。 それでも、来期以降の売上をつくるためには、新規のお客様との接点を増やさなければなりません。 今回の広告費は、目の前の利益ではなく、将来の顧客を獲得するための投資として考えています。 売上の75%をリピーターに支えられていた 僕のショップでは、月初の売上のうち、およそ75%がリピーター、25%が新規のお客様です。 これは非常にありがたい状態です。 一方で、見方を変えると、新規のお客様を十分に獲得できていないということでもあります。 Meta広告は、過去に商品を購入した人や、サイトを訪問した人など、すでに何らかの接点がある人への配信が得意です。 そのため、広告のROASが良く見えていても、実際には既存のお客様が再購入しているケースが少なくありません。 ROASが200%ほど出て利益も残っていると、一見、広告運用はうまくいっているように見えます。 しかし、リピーターに売上を支えてもらい続けるだけでは、顧客数はいずれ頭打ちになります。 新規のお客様を獲得できなければ、来期の売上はつくれません。 そこで今回は、採算をいったん脇に置き、新規顧客の獲得に振り切りました。 「既存顧客除外は意味がない」と思っていた 今回の広告配信では、主に次の2種類を運用しました。 ひとつは、細かなターゲットを設定しないノンターゲティング配信。 もうひとつは、過去に商品を購入したお客様を除外した配信です。 これまで僕は、既存顧客を除外した広告について、 「全然購入されない」 「既存顧客除外には、あまり意味がないのではないか」 と感じていました。 しかし今回、許容CPAを引き上げ、広告を長く回したことで、その認識が変わりました。 既存顧客を除外しても、購入は発生します。 ただし、1件の新規購入を獲得するために必要な費用が、想定よりはるかに高かったのです。 僕のショップの場合、既存顧客を除外すると、1件の購入までに1万5,000円ほどかかることがあります。 状況が悪ければ、2万円近くかかることもあります。 これまでのように許容CPAを5,000円や1万円に設定していれば、購入が発生する前に広告を止めてしまいます。 つまり、既存顧客除外の広告に意味がなかったのではありません。 新規顧客を獲得するために必要なCPAの見積もりを、僕が間違えていたということです。 機械学習が進み始めたと感じたのは、購入が5件ついた頃 今回の運用でもうひとつ興味深かったのが、Meta広告の機械学習です。 広告を出して、購入が1件発生しただけでは、その後すぐに購入が続くとは限りません。 1件目は早く取れたのに、その後2万円使っても2件目が取れないこともありました。 1件、2件程度の購入は、偶然や運の要素も大きいと感じます。 一方で、3件、4件と購入が発生し、5件ほどついた頃から、CPAが少しずつ下がってくる広告がありました。 ここで初めて、機械学習が進み始めたような感覚がありました。 購入者のデータが一定数蓄積されることで、Meta側が「どのような人が購入しやすいのか」を把握し始めたのだと思います。 その状態になったキャンペーンは、予算を増やしても、比較的効率を維持したまま購入を獲得できました。 もちろん、すべての広告がそこまで育つわけではありません。 広告を出しては止め、クリエイティブを変え、また配信する。 失敗を繰り返しながら、購入が5件程度発生するキャンペーンを探す必要があります。 結局のところ、広告運用はかなり泥臭い作業です。 新規向け広告は、購入されなくても認知につながる 既存顧客を除外した広告には、直接の購入以外にも役割があります。 広告を見た人が、その場で購入しなかったとしても、商品やブランドの存在を知ってもらうことはできます。 その後、別の広告を見たり、SNSの投稿に触れたり、サイトを再訪したりすることで、購入につながる可能性があります。 実際、既存顧客を除外した広告を長く配信した後に、ノンターゲティング広告を再開したところ、CPA4,000円程度で購入が取れるケースがありました。 良い広告では、CPA2,000円台で購入が発生することもありました。 もちろん、その中にはリピーターも含まれています。 ただ、新規向け広告によって事前に認知を獲得できていたことが、ノンターゲティング広告の成果にも影響している可能性があります。 新規向け広告で認知を取る。 別のコンテンツや広告でもう一度接点をつくる。 その後、購入につなげる。 広告は、ひとつの広告だけで完結させるのではなく、複数の接点を組み合わせて考える必要があります。 広告だけで新規顧客を獲得するのは、本当に難しい 今回、広告費を大きく使って改めて感じたのは、広告の力だけで新規のお客様を獲得する難しさです。 広告費を増やせば、一定数の購入は発生します。 しかし、そのままでは採算が合いません。 新規顧客のCPAが1万5,000円や2万円かかるのであれば、広告以外の部分を改善する必要があります。 たとえば、 ・LPをわかりやすくする ・記事コンテンツを充実させる ・動画クリエイティブを増やす ・インフルエンサーに商品を体験してもらう ・ブランドや商品の認知を増やす ・購入後のリピート率を高める といった施策です。 広告は、商品を必要としている人に届けるための手段です。 広告を出すだけで、わかりにくい商品が突然売れるようになるわけではありません。 商品の魅力、LPの内容、クリエイティブ、ブランドの世界観に一貫性があって、初めて広告が機能します。 新規のお客様ほど、LPの「わかりにくさ」に厳しい 既存のお客様は、すでに商品やショップについて知っています。 多少説明が不足していても、商品の良さを理解してくれているため、購入してくださる可能性があります。 しかし、新規のお客様は違います。 初めて広告を見た人にとって、 「これは何の商品なのか」 「自分にどんな関係があるのか」 「なぜこの商品を選ぶ必要があるのか」 「ほかの商品と何が違うのか」 がすぐにわからなければ、購入にはつながりません。 実際、LPをほかの方に見てもらったところ、「わかりづらい」という率直な意見をいただきました。 運営者自身は、商品について詳しすぎます。 そのため、説明が不足していても、頭の中で勝手に補完できてしまいます。 しかし、新規のお客様は補完してくれません。 「よくわからない」と思われたら、その時点で離脱します。 新規顧客を獲得したいのであれば、LPの細かな表現や、コンセプトの一貫性まで徹底的に見直す必要があります。 今後は動画クリエイティブを増やしていく 次の施策として考えているのが、動画クリエイティブの強化です。 インフルエンサーやクリエイターに商品を体験してもらい、報酬を支払ったうえで、質の高い動画を制作してもらうことを検討しています。 現在は、商品画像とコピーだけで新規のお客様に商品の魅力を伝えることが難しくなっています。 動画であれば、商品の使い方、使用感、作り手の考え、利用する場面などを、より具体的に伝えられます。 単にギフティングをして投稿してもらうだけではなく、広告素材として活用できるクリエイティブを増やしていく。 今後は、そのような取り組みも必要だと考えています。 ShopifyストアとMetaピクセルを分ける実験 もうひとつ、今後試そうと考えているのが、ShopifyストアとMetaピクセルを分ける実験です。 現在のショップには、これまで蓄積してきた購入データがあります。 そのため、Metaの機械学習も既存顧客や、これまで購入してきた人の傾向に影響されている可能性があります。 そこで、特定の商品について新しいShopifyストアを作り、別のMetaピクセルと広告アカウントで配信します。 既存の購入データがほとんどない状態から広告を始めた場合、新規顧客の獲得にいくらかかるのか。 既存ショップと新規ショップでは、広告の成果にどのような違いが出るのか。 それを検証したいと考えています。 ただし、ストアを分けると、サイト構築や各種ポリシーの設定、物流システムとの連携、月額利用料など、運営コストも増えます。 広告の成果だけでなく、固定費や管理の手間も含めて、分ける価値があるのかを判断する必要があります。 買い切り商品でも、リピートや紹介はつくれる 新規顧客獲得の話をすると、 「うちは買い切り商品なので、毎回新規を獲得するしかありません」 という話をよく聞きます。 しかし、これは思い込みであることも少なくありません。 買い切り商品であっても、リピート購入が発生する可能性はあります。 別の商品を購入してもらうこともできます。 家族や友人へのプレゼントとして、再び選んでもらえるかもしれません。 購入者から、ほかの人に紹介してもらう仕組みをつくることもできます。 大切なのは、 「買い切りだからリピートされない」 と決めつけるのではなく、 「どうすれば、もう一度関わってもらえるのか」 「どうすれば、誰かに紹介してもらえるのか」 を考えることです。 新規のお客様を広告で獲得するコストが上がっているからこそ、一度購入してくださった方との関係を深める努力が、ますます重要になっています。 新規獲得は、広告だけではなく総力戦になっている 10年前のECは、広告を出して、商品ページを最適化すれば、比較的売れやすい時代でした。 しかし、現在は状況が大きく変わっています。 広告費は上がっています。 市場には似た商品が増えています。 消費者は広告に慣れ、簡単には反応してくれません。 商品の目新しさだけで売ることも難しくなっています。 だからこそ、 ・広告 ・SNS ・メルマガ ・LP ・動画 ・商品開発 ・ブランドの世界観 ・購入後のフォロー ・紹介や口コミ を組み合わせる必要があります。 オンライン広告だけで集客する「空中戦」ではなく、チラシを配るように、一人ひとりとの接点を地道につくる感覚に近づいています。 結局、新規顧客の獲得に近道はありません。 広告を回し、数字を見て、クリエイティブを改善する。 SNSを更新し、コンテンツをつくる。 購入してくださった方に、もう一度選んでもらえるようにする。 そうした泥臭い積み重ねが必要です。 まとめ:間違っていたのは、既存顧客除外ではなくCPAの想定だった 今回、1週間で約200万円のMeta広告を使った結果、広告単体では大きな赤字になりました。 しかし、多額の広告費を使ったことで、これまで見えていなかったことがわかりました。 既存顧客を除外した広告にも、きちんと意味があります。 ただし、新規のお客様を獲得するためには、これまで想定していた以上のCPAが必要でした。 僕が間違えていたのは、既存顧客除外の効果ではなく、新規顧客獲得に必要なコストの見積もりだったのです。 そして、CPAが高いからといって、広告を完全にやめればいいわけでもありません。 広告で認知を獲得し、LPや動画で理解を深めてもらい、購入後はリピーターや紹介につなげる。 事業全体で顧客獲得コストを回収できる仕組みをつくる必要があります。 今回の実験は赤字でした。 それでも、新規のお客様を獲得するための基準が見えたことは、大きな収穫です。 今後は、LPの改善、動画クリエイティブの制作、インフルエンサー施策、ストアとピクセルを分けた広告配信などを試しながら、広告費をどのように将来の売上につなげていくかを検証していきます。 新規顧客の獲得は、本当に難しくなっています。 だからこそ、広告の数字だけを見て一喜一憂するのではなく、商品、コンテンツ、ブランド、リピート施策まで含めて改善していくことが重要です。 音声はこちら▶︎