6月に広告費1,300万円を使って分かった、Meta広告の機械学習の正体 今回は、2026年6月に広告費を約1,300万円使った結果について、具体的に共有します。 6月は決算月だったこともあり、例年よりも大きく広告費を投下しました。 結果として、売上は約1,700万円。 数字だけを見ると、広告費を大きく使いながら売上も伸ばした1か月でしたが、今回の一番大きな収穫は売上そのものではありません。 Meta広告の機械学習が、予算とコンバージョンデータによってどのように進んでいくのか。 その感覚を、これまで以上に明確につかめたことでした。 決算月に広告費を増やした理由 6月は会社の決算月でした。 会社全体として利益が出ていたため、将来の売上につながる広告へ積極的に投資しようと考え、広告費を大きく増やしました。 決算月に広告費を増やすこと自体は、創業以来ほぼ毎年行っています。 ただ、これまでは途中でCPAが高くなると、不安になって広告を止めてしまうことが多くありました。 「このCPAでは利益が出ない」 「これ以上使ったら赤字になる」 そう考えて配信を止めるため、結局は予定していた予算を使い切れず、後から後悔することもありました。 そこで今回は、これまでとは運用ルールを変えました。 CPAが一時的に高くなっても、すぐには止めない。 目先の効率だけではなく、Metaに十分なコンバージョンデータを渡し、機械学習を進めることを優先しました。 広告費1,300万円が、そのまま損失になるわけではない 広告費に対して、よくある誤解があります。 広告費を100万円使えば、100万円分の利益がそのまま減ると思われがちです。 しかし、広告を出せば売上も発生します。 例えば100万円の広告費を使って1,000万円の売上が生まれれば、広告費だけが一方的に損失になるわけではありません。 商品原価や配送費などを差し引く必要はありますが、売上に伴って粗利益も生まれます。 さらに、広告の学習が進み、費用対効果が改善すると、広告費を増やしたことで逆に利益が増える場合もあります。 今回も、広告費を増やせば簡単に利益を圧縮できると考えていたものの、広告経由の売上もついてきました。 その結果、想定していたほど単純には利益が減りませんでした。 広告は、使った金額だけを見るのではなく、そこから生まれた売上、新規顧客、将来のリピートまで含めて考える必要があります。 今回は既存顧客を徹底的に除外した 今回の広告運用で特に意識したのが、既存顧客の除外です。 これまではMeta広告から購入している人の中に、既存顧客が一定数含まれていました。 既存顧客はすでに商品やブランドを知っているため、新規顧客よりも購入につながりやすい傾向があります。 そのため、広告管理画面上のCPAやROASが良く見えていても、実際には既存顧客の購入に支えられている可能性があります。 そこで6月は、過去の購入者などを可能な限り除外し、新規顧客への配信を徹底しました。 最近のMeta広告では、アカウントによっては購入者の除外期間を長く設定できるようになっています。 これまでよりも既存顧客を除外しやすくなったため、新規獲得に特化した配信を行いました。 最初のCPAは約2万円だった 新規顧客だけに広告を配信すると、当初のCPAは約2万円でした。 新規顧客を一人獲得するために2万円かかる状態です。 通常であれば、この時点で広告を止めていたと思います。 「やはり新規顧客だけでは合わない」 「このCPAでは事業として成立しない」 そう判断する数字だからです。 しかし、今回は決算月という事情もあり、CPAが高くても一定期間は止めないと決めていました。 広告を止めず、Metaに新規顧客の購入データを蓄積させることを優先しました。 配信を続けるとCPAが下がり始めた 最初はCPA約2万円の状態が続きました。 それでも配信を止めず、複数のキャンペーンに予算を投入しました。 すると、少しずつ変化が現れました。 CPAが2万円から1万円台へ下がり、さらに7,000円前後で獲得できるキャンペーンも出始めたのです。 既存顧客を除外しているにもかかわらず、新規顧客のCPAが大きく改善しました。 この時、Metaの機械学習が新規顧客の獲得に対して最適化され始めたのではないかと感じました。 最初の数件だけを見て広告を止めていたら、この改善は起きなかった可能性があります。 Metaにとっても、数件の購入データだけでは、どのような人が商品を買うのかを正確に判断できません。 一定量の予算とコンバージョンデータを渡したことで、購入する可能性が高い新規顧客を見つけやすくなったと考えています。 広告費を減らした7月もCPAが低いまま回った 決算が終わった7月は、広告予算を大きく減らしました。 通常であれば、予算を落とすことで売上やコンバージョンも大きく下がると考えます。 ところが、CPAは改善した状態をある程度維持していました。 広告費を減らしたにもかかわらず費用対効果が良く、結果として再び広告予算を増やせる状態になりました。 6月に広告を見た人が、7月にリターゲティング広告などを通じて購入している影響もあります。 また、7月は毎年比較的売上が伸びやすい時期でもあります。 そのため、すべてが機械学習の効果だとは断定できません。 それでも、既存顧客を除外した新規向け広告のCPAが改善した状態で回り続け、新規顧客の割合も高くなっていることから、6月の学習データが一定の影響を与えていると考えています。 リピーター比率が70%から45%まで下がった これまで当社の売上は、リピーターが約70%を占める月が多くありました。 新規顧客が増えた月でも、リピーター比率は60%前後です。 しかし6月は、新規顧客への広告投資を増やしたことで、リピーターの売上比率が約45%まで下がりました。 これは、リピーターの売上が極端に減ったというより、新規顧客の売上が大きく増えた結果です。 ここ数年では見たことがないほど、新規顧客の割合が高まりました。 広告費だけを見れば大きな投資ですが、今後その新規顧客がリピートしてくれれば、6月の広告投資は将来の売上にもつながります。 だからこそ、広告の評価は初回購入時のCPAやROASだけで終わらせてはいけません。 その後のリピート率やLTVまで含めて検証する必要があります。 予算を増やしただけでは売れない ここまで読むと、 「広告予算を増やせば、Metaの機械学習が進んで売れる」 と思われるかもしれません。 しかし、予算を増やしただけでは売れません。 今回成果につながった大きな要因は、4月と5月にクリエイティブと販売ページを徹底的に改善していたことです。 広告を増やす前に、商品をどのように見せるのか、どの言葉で伝えるのか、どのページへ誘導するのかを何度も見直しました。 その改善が6月中旬ごろに噛み合い、広告費を増やしたタイミングで売上が伸び始めました。 予算だけではなく、 ・商品のカテゴリー設計 ・広告クリエイティブ ・訴求する言葉 ・LPや商品ページ ・広告アカウントの機械学習 これらが重なったことで、成果につながったと考えています。 4月と5月に約300本のクリエイティブを制作 4月と5月は、クリエイティブ改善に多くの時間を使いました。 制作したバナーや動画は、合計で約300本です。 キャンペーン数も数十本規模で作り、さまざまな訴求軸、言葉、見せ方を試しました。 広告では、大きなコンセプトだけではなく、細かな言葉の違いによっても成果が変わります。 例えば、今回扱っていた商品の表現では、 ・断食プロテイン ・プロテイン断食 ・ファスティングプロテイン ・プロテインファスティング といった似た言葉を試しました。 意味としては近い言葉ですが、最も広告の反応が良かったのは「断食プロテイン」でした。 わずかな語順やニュアンスの違いでも、消費者が理解しやすいか、興味を持つか、購入したいと思うかは変わります。 広告改善では、こうした細かな違いを地道に検証する必要があります。 一番成果が出たのは商品ページへの直接誘導 広告のリンク先についても、複数のパターンを試しました。 ブログ型のLPを複数制作し、広告から記事を読んでもらった後に商品ページへ誘導する方法も実施しました。 ブログLPを挟むことでCPAが下がるケースはあります。 商品の背景や必要性を詳しく説明しないと伝わらない商品では、今でも有効な方法です。 一方で、記事を読むという工程が増えるため、お客様にとっては面倒に感じられる場合もあります。 今回最終的に最もコンバージョンが出たのは、広告から商品ページへ直接誘導する形でした。 広告クリエイティブの中で、商品のカテゴリーや飲み方、購入する理由をワンパンチで伝えられるようになったこと。 さらに、商品ページでも営業されているような抵抗感を減らし、シンプルで分かりやすい構成に改善できたことが要因だと考えています。 動画では2つの訴求が機能した 動画広告では、大きく2つのパターンが機能しました。 1つ目は、「断食専用のプロテイン」として、商品をストレートに説明する動画です。 もともと断食やファスティングに関心がある人へ、断食プロテインという新しいカテゴリーを提示します。 「断食をしたいけれど、何を飲めばよいか分からない」 という人にとって、用途が明確な商品は興味を持ちやすくなります。 2つ目は、Vlogのような日常型の動画です。 食べ過ぎた日や、少し食生活を整えたい日常を見せることで、視聴者が自分の生活と重ねやすくなります。 商品説明を正面から受け取るというより、 「自分も最近食べ過ぎているかもしれない」 「少し食事を調整したい」 と感じてもらい、購入につなげる訴求です。 同じ商品でも、すでに断食に興味がある人と、漠然と食生活を整えたい人では、響く伝え方が異なります。 CPAが高い広告を止めると、全体売上が下がることもある 今回の運用で興味深かったのが、個別のCPAが高い広告でも、止めると全体の売上が下がるケースがあったことです。 通常は、CPAが高いキャンペーンを止め、成果が良いキャンペーンへ予算を集中させるのが合理的です。 しかし、広告を絞り込みすぎると、リーチできる顧客層や伝えられるメッセージが限定されます。 直接コンバージョンを多く取っていない広告でも、 ・商品を初めて知ってもらう ・ブランドの考え方を伝える ・別の広告の理解を深める ・後日の指名検索や購入につなげる といった役割を果たしている可能性があります。 数字だけを最適化して広告を削りすぎると、アカウント全体の売上が伸びなくなることがあります。 広告管理画面上のCPAだけでは評価できない部分があるため、個別広告の数字と、アカウント全体の売上の両方を見る必要があります。 AIで300本作っても、最後は人間が考える必要がある 今回のクリエイティブ制作では、AIも積極的に活用しました。 AIを使えば、コピーや訴求案を短時間で大量に作れます。 ただし、数を増やしていくと、徐々に似た表現が増えてきます。 言葉を変えているだけで、伝えている内容は同じという状態になりやすいのです。 そこから先は、人間が顧客の反応を読み取る必要があります。 ・この広告に反応した人は、何を求めているのか ・商品のどの部分が理解されていないのか ・どの言葉に抵抗を感じているのか ・どのニュアンスを膨らませるべきか 実際のお客様の反応を見ながら、辞書や類語も調べ、自分の頭で言葉を広げていきました。 AIは制作を加速させる道具として非常に優秀です。 しかし、商品の細かな価値や顧客心理を読み取り、最後の言葉を選ぶ作業は、まだ人間が担う必要があります。 この方法は初心者にはおすすめしない 今回行ったような、CPAが高くても広告を止めず、大きな予算を使って機械学習を進める方法は、初心者にはおすすめしません。 商品ページが未完成だったり、広告クリエイティブが十分に検証されていなかったりする状態で予算だけを増やすと、単純に赤字が増える可能性があります。 一方で、 ・月間広告費が30万円以上ある ・すでに一定数のコンバージョンが出ている ・LPや商品ページがある程度整っている ・クリエイティブの改善を継続している ・広告費を増やした際の損失に耐えられる といった事業者であれば、試す価値はあります。 特に、月商1,000万円以上あり、広告の費用対効果は悪くないものの、売上が伸び悩んでいる事業者です。 既存顧客を除外したうえで、一時的に予算を増やし、新規顧客のコンバージョンを集めることで、売上への影響が見えやすくなる可能性があります。 高いROASを守るだけでは売上は伸びない よくある相談に、 「広告のROASは700%あります」 「広告費は売上の5%未満です」 「でも、これ以上広告費を増やすのが怖いです」 というものがあります。 もちろん、広告費を無計画に増やすべきではありません。 しかし、売上を伸ばしたいのであれば、現在の高いROASを守り続けるだけでは難しい場合があります。 広告費を増やせば、これまでより購入確率の低い層にも配信が広がるため、一般的にはROASは下がります。 それでも、利益が残る範囲で広告費を増やし、売上と新規顧客数を伸ばすという判断が必要です。 ROAS700%で売上200万円を維持するのか。 ROAS400%に下がっても売上を500万円、1,000万円へ伸ばすのか。 事業の成長段階によって、優先する数字は変わります。 広告効率を守ることと、事業を成長させることは、必ずしも同じではありません。 新規顧客が増えると、問い合わせも一気に増える 広告がうまく回り始めると、新規顧客からの問い合わせも急増しました。 以前は、LINEへの問い合わせが1日10件から15件程度でした。 しかし、6月中旬から広告が噛み合い始めると、朝起きた時点で約40件の問い合わせがたまっている日も出てきました。 広告で売上が伸びれば、商品について質問する人、購入を迷う人、購入後に相談する人も増えます。 これは新規顧客に興味を持ってもらえている証拠であり、うれしい変化です。 一方で、問い合わせ対応の負担も大きくなります。 広告運用だけを改善しても、その後の顧客対応が追いつかなければ、満足度やリピート率は上がりません。 広告投資と同時にCRMも強化する 広告によって新規顧客を増やした後は、CRMが重要になります。 商品を買ってもらった後に、 ・正しい使い方を伝える ・質問へ丁寧に回答する ・購入後の不安を解消する ・商品やブランドへの理解を深める ・継続しやすいコミュニケーションを行う といった取り組みが必要です。 広告で新規顧客を増やしても、アフターサポートをないがしろにすれば、リピートやファン化にはつながりません。 6月は広告改善とLINEでの個別対応に多くの時間を使いました。 今後は広告への投資を続けながら、LINEやメールなどを使ったCRMも整えていく必要があります。 新規獲得とリピート施策の両方が機能して、初めて広告投資が長期的な事業成長につながります。 良い商品は、伝わる状態まで立ち上げる必要がある ひとりECや小規模ブランドが販売している商品には、体験価値の高いものが多くあります。 一方で、良い商品であっても、説明しなければ価値が伝わらないケースは少なくありません。 健康食品、サプリメント、化粧品、ヘアケア商品などは、見ただけで違いを理解してもらうのが難しいカテゴリーです。 だからこそ、 ・どのカテゴリーとして見せるのか ・誰のどの悩みに向けた商品なのか ・何が他の商品と違うのか ・どの言葉なら一瞬で伝わるのか を何度も考え、クリエイティブやLPへ落とし込む必要があります。 立ち上がるまでには時間がかかります。 今回も4月と5月に改善を繰り返し、6月中旬になってようやく大きく噛み合いました。 しかし、一度商品と訴求と広告配信が噛み合えば、予想以上に売上が伸びる可能性があります。 まとめ 2026年6月は、広告費を約1,300万円使い、売上は約1,700万円になりました。 この経験から得た大きな学びは、次のとおりです。 まず、広告費を増やしただけで成果が出るわけではありません。 事前にクリエイティブやLPを改善し、商品が伝わる状態を作っておく必要があります。 そのうえで既存顧客を除外し、新規顧客のコンバージョンを一定数集めたことで、Metaの機械学習が進み、CPAが改善した可能性があります。 また、個別広告のCPAだけを見て広告を止めるのではなく、アカウント全体の売上や新規顧客数も見る必要があります。 高いROASを維持することだけを優先していると、事業を成長させる機会を逃すこともあります。 そして、新規顧客が増えた後は、問い合わせ対応やCRMを強化し、リピートやファン化につなげることが欠かせません。 今回の広告費1,300万円は、単に売上を作るための費用ではありませんでした。 Meta広告の機械学習、クリエイティブ改善、予算の増やし方、新規獲得後の顧客対応まで、広告運用の解像度を一段高めるための投資になりました。 広告運用は、数字を見て機械的に止めたり増やしたりするだけではありません。 商品が言うべきこと、顧客が求めていること、広告管理画面に現れる数字。 この3つの落としどころを探し続けることが、売上を伸ばすための重要な仕事だと改めて感じました。 音声はこちら▶︎