市場価格の10倍でも売れる。猫用インテリアブランドが実践する差別化戦略 今回は、猫用段ボール家具ブランドを運営する和田さんとの対談をお届けしました。 建築設計の経験を活かし、自社工場で猫用インテリアを製造するという、非常にユニークなビジネスです。 一般的な爪とぎが2,000円前後なのに対し、和田さんの商品は2〜3万円。 それでも着実に売れ続けています。 今回は、その理由について深掘りしました。 差別化は「製造」から始まる 和田さんのブランド最大の特徴は、自社で製造まで行っていることです。 一般的な猫用爪とぎは海外製が多く、柔らかい段ボール素材が使われています。 一方、和田さんの商品は国産段ボールを使用し、自社で加工。 さらにNC加工機を導入し、一般的な量産工場では難しい複雑な曲線デザインまで実現しています。 つまり、 ・長持ちする ・デザイン性が高い ・他社が真似しにくい という価値を、製造そのもので作り出しているのです。 製造設備への投資は必要ですが、その分ブランドの独自性になっています。 高価格でも売れる理由 市場価格の約10倍。 普通なら「高すぎる」と思われそうですが、実際には富裕層を中心に購入されています。 理由は単純です。 比較対象が違うからです。 もし「爪とぎ」として比較すれば、ホームセンターの商品と比べられます。 しかし、 インテリア家具 として見れば話は変わります。 数万円の椅子やテーブルが当たり前の世界では、2〜3万円は十分検討対象になります。 商品のカテゴリーを変えるだけで、価格の見え方は大きく変わるのです。 「何と比較されるか」がブランドを決める 対談の中でも印象的だったのが、この話です。 以前、北の達人コーポレーションでは高価格帯シャンプーが売れなかったそうです。 そこで、 「シャンプー」 ではなく 「ヘッドスパ」 という見せ方に変更したところ、売れるようになったという事例があります。 これは比較対象を変えたことで、価格の受け止め方が変わった典型例です。 同じように今回の商品も、 「爪とぎ」 ではなく、 ・インテリア ・キャットファニチャー ・猫と暮らす空間づくり という世界観で伝えた方が価値が伝わりやすいかもしれません。 機能より、暮らしを見せる 広告クリエイティブについてもアイデアを共有しました。 「高耐久な爪とぎです」 と説明するより、 美しい部屋で猫がくつろいでいる写真を見せ、 「実は爪とぎにもなります」 という順番の方が、高価格帯の商品には合っている可能性があります。 人は機能よりも、 「この暮らし、素敵だな」 という憧れに反応します。 だからこそ、高価格帯の商品ほどライフスタイル提案が重要になります。 高価格だからこそ良いお客様が集まる 価格は売上だけではなく、お客様の質にも影響します。 楽天市場では価格やポイントを重視するお客様が多く、比較やクレームも発生しやすい傾向があります。 一方、自社サイトでは、 「このブランドが好き」 という理由で購入してくださる方が増えます。 和田さんも、 受注生産で納期が1〜2か月かかっても、 「楽しみに待っています」 と言ってくださるお客様が多いそうです。 価格で選ばれるブランドではなく、 価値で選ばれるブランド。 これが長く続くブランドには欠かせない要素だと感じました。 LINEはもっと友達感覚で使う 後半では、お客様とのコミュニケーションについても話しました。 最近強く感じているのは、 思っている10倍くらいフレンドリーでちょうどいい ということです。 キャンペーンだけを配信するLINEでは反応が薄くなります。 例えば、 「猫ちゃん、どのくらい使ってますか?」 「掃除ってどうしてます?」 「サイズ感どうでした?」 そんな一言だけでも、お客様は意外と返信してくれます。 ブランドとお客様の距離を縮めるには、売り込みではなく会話を増やすことが大切です。 モールは販売チャネル、自社サイトはブランドを育てる場所 今後、和田さんはモール展開も予定されています。 ただし、 モール中心でブランドを作るのではなく、 まずは自社サイトやSNSでブランドを育てる。 そのうえで、 「楽天で買いたい」 「Amazonを使いたい」 というお客様の利便性を満たすためにモールを活用する。 この考え方は、高価格ブランドには非常に相性が良いと思います。 まとめ 今回の対談を通じて改めて感じたのは、 価格は商品の価値ではなく、ポジションで決まるということです。 ・製造で差別化する ・カテゴリーを変える ・インテリアとして見せる ・世界観を伝える ・良い顧客と長く付き合う これらを積み重ねることで、市場価格の10倍でも支持されるブランドは作れます。 価格競争ではなく、価値競争へ。 そんなブランドづくりの本質が詰まった、とても学びの多い対談でした。 音声はこちら▶︎