【メンバー対談】ペルシャ絨毯販売から月商500万円へ。篠原さんが“売れない時期”を乗り越えた泥臭いEC運営の話 今回は、ひとりECオンラインサロンのメンバー対談として、ペルシャ絨毯とインドのブロックプリントのお洋服を販売している篠原さんにお話を伺いました。 篠原さんの経歴は、いわゆる「EC経験者が独立してネットショップを始めた」というものではありません。 もともとは事務職。夫の海外駐在をきっかけにシンガポールへ移住し、そこで出会ったペルシャ絨毯をきっかけに販売をスタートしました。 ところが、最初から順調だったわけではありません。 100万円ほど仕入れた絨毯が思うように売れない。 アトリエを借りても人が来ない。 毎月赤字が積み上がり、「もう事業をやめよう」と家族に相談するところまで追い込まれました。 そこから商品をワンピースへ広げ、Meta広告を始めたことをきっかけにV字回復。 現在は月商300万円台、さらに直近では500万円まで売上を伸ばしています。 ただ、今回話を聞いて感じたのは、篠原さんが売れている理由は「Meta広告を覚えたから」だけではないということです。 むしろ、売れなかった頃からずっとやってきた、 「目の前のお客様と仲良くなる」 「売れないなら、今できることを全部やる」 という圧倒的に泥臭い姿勢こそが、今の売上につながっているように感じました。 今回は、篠原さんがどのようにECを始め、売れない時期をどう乗り越え、月商500万円まで伸ばしていったのかを詳しく紹介します。 駐在妻として過ごしたシンガポールで、ペルシャ絨毯に出会う 篠原さんはもともと、国立高等専門学校の本部で事務職として働いていました。 海外の学校とのやり取りや、留学生の受け入れなどに関わる仕事をしていたそうです。 その後、夫のシンガポール駐在に同行。 約5年間シンガポールで生活し、その間に2人のお子さんも出産しました。 シンガポールでは仕事をしていなかったこともあり、現地で知り合った方々からパーティーやイベントなど、さまざまなお誘いを受けていたそうです。 その中で、ある知人から言われたのが、 「ペルシャ絨毯を見に行かない?」 という一言でした。 当時の篠原さんは、ペルシャ絨毯にまったく興味がありませんでした。 自宅にペルシャ絨毯があるような家庭で育ったわけでもなく、「高級そうだし、自分には関係ないもの」という感覚だったそうです。 しかし、 「買わなくてもいい。イラン人のお店の人が一枚ずつ説明してくれるから、見ているだけでも面白いよ」 と言われ、夫婦でお店を訪れることになりました。 そこで初めて実物を見て、その美しさに驚いたそうです。 一般的なペルシャ絨毯は、細かな柄がびっしりと織り込まれた非常に繊細なもの。 一方で、テレビ番組などをきっかけに篠原さんが興味を持ったのが「ギャッベ」と呼ばれる、毛足が長く、柄も少し粗めで温かみのある絨毯でした。 三浦が対談の中で、 「スーパーファミコンみたいな、ちょっとドットが粗い感じ?」 と表現すると、篠原さんも「まさにそんな感じ」と話していました。 それまでペルシャ絨毯には興味がなかった篠原さんですが、このギャッベには強く惹かれました。 「ブランドバッグより、100年使える絨毯が欲しい」 シンガポール駐在中、周囲では出産祝いとして高級ブランドのバッグを購入する人も多かったそうです。 ただ、篠原さん自身はブランドバッグにはあまり興味がありませんでした。 そこで考えたのが、ペルシャ絨毯です。 ペルシャ絨毯は、きちんと使えば100年単位で残せるものもあります。 「だったら、子どもにも引き継げる絨毯のほうがいい」 そう考えて、自宅もまだ決まっていない段階で大きな絨毯を一枚購入しました。 この経験が、後の事業につながっていきます。 100万円仕入れて販売開始。しかし、1枚も売れなかった 日本に帰国後、篠原さんはペルシャ絨毯の販売を始めました。 最初の仕入れ額は、なんと約100万円。 少しずつ仕入れるのではなく、 「ドーンと仕入れれば、ドーンと売れるだろう」 という感覚で一気に在庫を持ったそうです。 ECサイトはShopifyで構築しました。 Shopifyを選んだのは、夫から、 「Shopifyっていうのがあるから、それで作ればいい」 と勧められたことがきっかけ。 篠原さん自身は、当時ShopifyどころかECサイト構築の知識もほとんどありませんでした。 それでも自分で調べながらサイトを作り、Instagramで、 「お店をオープンしました」 と告知。 しかも、日本国内の一般的な販売価格よりもかなり安く設定しました。 友人もいるし、価格も安い。 当然ある程度は売れると思っていたそうです。 しかし、結果は、 1枚も売れませんでした。 安ければ売れるわけではない。 商品が良ければ勝手に売れるわけでもない。 ECをやっていると、この壁には多くの人が一度ぶつかります。 最初にやったのは、Instagramで「いいね」ではなくコメントをすること 売れない状況で篠原さんが最初に始めたのが、Instagram上でのコミュニケーションでした。 当時よく行われていた「いいね回り」もしましたが、篠原さんが意識していたのは、ただ「いいね」を押すだけではありません。 投稿内容をきちんと読み、 「それは大変でしたね」 「こういうことだったんですね」 と、その人に合わせたコメントを書く。 ペルシャ絨毯やインテリアが好きそうな人を探し、少しずつ交流を重ねていきました。 すると徐々にフォロワーが増え、オープンから約3ヶ月後、初めて商品が売れました。 売れたのは、5,500円ほどの小さな絨毯。 金額だけを見れば大きな売上ではありません。 しかし、その後も非常に大きな意味を持つ出会いになりました。 当時コメントで交流していたお客様の中には、その後何年も関係が続き、現在では30万円、50万円単位で商品を購入してくれる方もいるそうです。 SNSもECも、結局は「人対人」 篠原さんは、当時のことをこう振り返っていました。 「SNSって特別なものじゃなくて、向こう側には人がいると思っていた」 これは、ECを運営する上で非常に大切な考え方です。 SNSを見ると、 「リールを伸ばさなきゃ」 「フォロワーを増やさなきゃ」 「アルゴリズムを攻略しなきゃ」 と考えがちです。 もちろん、それらも大切です。 ただ、その前に存在しているのは「人」です。 Instagramの画面の向こう側には、一人のお客様がいます。 投稿内容を読み、きちんとコメントを返す。 相手の好みを知る。 少しずつ仲良くなる。 その積み重ねによって、商品に興味を持ってもらう。 篠原さんはEC経験も営業経験もない状態で、それを自然に実践していました。 現在でも、関係性の深いお客様にはお中元を送ったり、飼っていたペットが亡くなったことを知ればお花を送ったりすることもあるそうです。 ここまでくると、単純な「販売者と顧客」という関係ではありません。 長くECを運営するうえで、こうした関係性は非常に強い資産になります。 在庫が増え、自宅が限界に。父親と一緒に住めるアトリエを借りる 少しずつ絨毯が売れるようになると、次の問題が出てきました。 絨毯は、とにかく場所を取ります。 在庫を増やすほど、自宅を圧迫するようになりました。 そんなタイミングで、篠原さんのお父さんが住んでいたアパートが取り壊しになることに。 そこで篠原さんは、 「一軒家を借りて、1階に父親、2階をアトリエにしたらいいのでは?」 と考えます。 条件に合う物件もすぐに見つかり、1階にはお父さん、2階には絨毯の在庫を置く形でアトリエをスタートしました。 週末にはお客様にアトリエへ来てもらい、実物を見てもらう。 オンラインでも販売する。 そんな形を想定していました。 ところが、 お客様がまったく来ませんでした。 絨毯は毎年買うものではない。そして夏はさらに売れない ここで篠原さんは、ペルシャ絨毯という商品の難しさに直面します。 絨毯は、一度買えば何年も使える商品です。 食品や消耗品のように、毎月リピートされるものではありません。 さらに季節性もあります。 特に夏は、絨毯が非常に売れにくい。 売上は落ちる一方なのに、アトリエの家賃は毎月出ていきます。 その状況を変えるために、 ・チラシを作る ・近隣にチラシを配る ・Instagramライブをする ・オンラインで商品を紹介する など、とにかくできることを試しました。 それでも、売れる月と売れない月の差は大きい。 アトリエを維持する固定費も重くなり、毎月数万円の赤字が続くようになりました。 夏の売上対策として始めたインドのワンピース そこで思い出したのが、シンガポール時代に出会ったインドの洋服でした。 篠原さんはペルシャ絨毯だけでなく、インドのブロックプリントにも惹かれていました。 ブロックプリントとは、木版を使い、職人が手作業で一つずつ柄を押していく伝統的な技法です。 一つの生地を作るだけでも2〜3週間かかることがあります。 ペルシャ絨毯が好きなお客様と、ブロックプリントが好きなお客様は好みも近い。 さらにワンピースは夏に需要があります。 「絨毯が売れない夏だけでも、ワンピースを売ってみよう」 そう考えて販売を始めました。 すると、ワンピースが想像以上に売れました。 それでも赤字は続き、「事業をやめよう」と決意 ワンピースは売れたものの、事業全体としてはまだ苦しい状態でした。 大量に仕入れた絨毯は残っている。 アトリエの家賃もかかる。 家族にも協力してもらっている。 子どももまだ小さい。 篠原さんは、 「家族にも申し訳ない」 という気持ちが強くなり、ついに事業を畳むことを考えます。 夫に、 「絨毯の事業をやめようと思う」 と相談すると、夫はその場でパソコンを開き、収支を確認。 そして、 「これなら、やめたほうがいいね」 と冷静に判断しました。 アトリエの1階に住んでもらっていたお父さんにも事情を説明し、別の家へ移ってもらいました。 ここまで整理して、本当に事業を終える直前まで進みました。 「あと1年だけやらせてほしい」 それでも、篠原さんの中には引っかかるものが残っていました。 「まだ、やり切っていない」 という感覚です。 篠原さんは夫に、 「あと1年間だけやらせてほしい。1年やってダメだったら、本当にやめる」 とお願いしました。 夫もそれを了承。 ここから最後の1年が始まります。 「絨毯がダメなら、売れているワンピースに振ろう」 改めて数字を見ると、一つの事実がありました。 絨毯は苦戦している。 一方で、 ワンピースは売れている。 そこで篠原さんは、絨毯にこだわるのではなく、売れているワンピースへ力を入れることにしました。 そして春頃、Instagram上から簡単に出せる広告を試してみたところ、広告経由で商品が売れました。 それまで広告運用の知識はありません。 「広告する」のボタンを押して出した程度だったそうです。 ところが、広告を出すと立て続けに注文が入りました。 「もしかしたら、広告をちゃんと勉強したら事業を立て直せるかもしれない」 ここで初めて広告に可能性を感じます。 「Instagram広告」で調べても欲しい情報が出てこない。 さらに調べていくと、「Meta広告」というものがあると知りました。 そこでYouTubeなどを通じて三浦の発信にたどり着き、サロンへ参加します。 広告を始めて売上30〜40万円からV字回復 篠原さんが三浦と出会った頃、月商は30〜40万円ほどでした。 もともとInstagramライブからの販売は強く、既存のお客様との関係もできていました。 ただ、新規のお客様へのリーチが弱かった。 そこにMeta広告を組み合わせました。 既存のお客様にはライブでしっかり販売する。 新規のお客様には広告で知ってもらう。 この組み合わせによって、1日だけ売れるのではなく、毎日少しずつ注文が入るようになっていきます。 そして、広告費と在庫を少しずつ増やしながら売上を拡大。 今年の夏には、 月商350万円。 さらに直近では、 月商500万円。 まで売上が伸びました。 今年は「夏の売上の天井」を見ようとした。でも在庫が先になくなった ブロックプリントは夏に非常に売れます。 これまでは、商品を仕入れてもすぐに売り切れてしまう状態でした。 そこで今年は、 「2〜3ヶ月分くらいの在庫を持って、夏にどこまで売れるのか天井を見てみよう」 と在庫量を増やしました。 しかし、結果としてECサイトはほぼ売り切れ。 結局、今年も売上の天井が見えないまま在庫がなくなりました。 三浦も以前から、 「売れ始めるタイミングで在庫を積んでおいたほうがいい」 と篠原さんに伝えていました。 ただ、篠原さんには、最初に絨毯を100万円分仕入れて売れなかった経験があります。 そのため、 「本当にこんなに仕入れて大丈夫なのか」 という恐怖心が残っていました。 頭では理解していても、実際に数百万円単位で在庫を積むのは怖い。 これはECをやっている人なら非常によく分かる話だと思います。 売れている今の課題は「インドの品質管理」 商品が売れるようになった現在、課題は集客から生産へ移っています。 ブロックプリントの商品は、基本的にハンドメイドです。 そのため、 10着注文しても3着しか納品されない。 注文した仕様と違う。 ボタンの位置が違う。 色味がバラバラ。 穴が開いている。 といったことも珍しくないそうです。 さらに、インドとのやり取り自体も非常に大変です。 篠原さん自身が英語を話せるため、現地工場と直接Zoomなどでやり取りしています。 現在は日本の検品会社にも依頼していますが、インド製品特有の品質差が大きく、検品だけでは拾いきれない問題もあります。 そこで現在は、工場そのものを変更。 検品会社もインド製品に慣れている会社へ変更。 輸送方法やリードタイムも含め、サプライチェーン全体を整えている段階だそうです。 売れる商品を作れるようになると、次に出てくるのは、 「どう安定して作るか」 という課題です。 ECは売上が伸びれば終わりではありません。 売上のステージが変わるたびに、新しい課題が出てきます。 篠原さんの現在の状況は、まさにそれを表しています。 お客様の声から生まれたメンズシャツ 現在は、ワンピースだけでなくメンズシャツも販売しています。 これも最初から計画して作った商品ではありません。 お客様から、 「メンズの商品はないんですか?」 「シャツが欲しい」 という声が増えたことがきっかけでした。 ただ、篠原さん自身は男性ではないため、 「メンズシャツのことは分からない」 と感じていました。 そんな時、近所のコーヒーショップを訪れたことがきっかけで、洋服好きで自身でもデザインをしている男性と出会います。 話を聞くと、 「いつか自分のブランドを持ちたい」 という思いを持っていました。 そこで篠原さんから、 「だったら一緒にやる?」 と声をかけ、メンズシャツの商品開発が始まりました。 三浦も実際にこのシャツを購入。 柄にオリジナリティがあり、生地もしっかりしているのに1万円を切る価格で、 「これは安い」 と感じたそうです。 なぜ価格を抑えられるのか 一般的にインド製品を日本で販売する場合、現地に日本人スタッフなどを入れて品質管理を行うケースも多くあります。 当然、その分コストが上がります。 一方、篠原さんは自分でインドの工場と直接交渉します。 うまくいかないことがあれば、 「ふざけんな」 と言いたくなるようなやり取りも含め、自分で品質管理に入り込む。 さらに日本の検品会社と組み合わせて販売できる状態まで仕上げます。 この工程を自分で担っているからこそ、比較的価格を抑えた商品を作ることができています。 英語力や海外経験も、現在の事業に大きく生きています。 篠原さんが売れている最大の理由は「行動量」 今回の対談で三浦が特に印象に残ったのは、篠原さんの行動量です。 売れなければコメントをする。 人が来なければチラシを配る。 夏に絨毯が売れなければ、別の商品を売る。 広告で売れたら、Meta広告を調べる。 在庫が足りなければ増やす。 品質に問題があれば検品会社を変える。 それでもダメなら工場を変える。 一つひとつを見ると、ものすごく派手な施策ではありません。 ただ、 「現状を変えるために、今できることは何か?」 を考え続けています。 そして、考えて終わるのではなく実際に動いています。 ノウハウよりも先に必要なのは「どうしても売りたい」という気持ち 世の中には、ECのノウハウをたくさん知っている人がいます。 Meta広告も知っている。 Instagramの伸ばし方も知っている。 Shopifyも使える。 商品開発の方法も知っている。 それでも売れない人はいます。 一方、篠原さんは最初からECの知識があったわけではありません。 むしろ何も分からない状態からスタートしました。 それでも、 「なんとかしなきゃ」 という思いで動き続けた。 三浦も対談の中で、 「ノウハウを知っていても、パッションがない人は売れない」 という話をしました。 もちろん、情熱だけで事業が成功するわけではありません。 正しいノウハウも必要です。 ただ、 行動する力 × 正しいノウハウ が組み合わさった時、事業は一気に伸びることがあります。 篠原さんの場合、もともと圧倒的な行動力があり、そこにMeta広告という新規集客の方法が加わった。 だからこそ売上がV字回復したのだと思います。 無料で集客したいなら、まず「人と仲良くなる」ことから始める 特にECを始めたばかりの人に参考にしてほしいのが、篠原さんが最初にやっていたInstagramでのコメントです。 広告費がない。 フォロワーもいない。 認知もない。 そんな状態でもできることはあります。 自分の商品を好きそうな人を探す。 投稿を見る。 その人に合ったコメントをする。 少しずつ関係を作る。 商品を売り込むのではなく、まず人として仲良くなる。 ものすごく地味です。 効率だけを考えれば、広告のほうが圧倒的に早いかもしれません。 それでも、事業の初期にはこうした泥臭い活動が強い。 実際、その頃に知り合ったお客様が、数年後も30万円、50万円と商品を購入してくれているわけです。 まとめ:売れない時こそ「今できること」を全部やる 今回、篠原さんの話を聞いて改めて感じたのは、売上を作る人は「売れない時の行動」が違うということです。 100万円仕入れて売れなかった。 アトリエを借りても人が来なかった。 毎月赤字が続いた。 家族に協力してもらったのに、事業を畳もうとした。 それでも最後に、 「あと1年だけやらせてほしい」 と続けました。 そして、 売れている商品に力を寄せる。 広告を試す。 売れたら本格的に学ぶ。 在庫を増やす。 工場を変える。 と、その時その時で必要なことを実行してきました。 今の月商500万円だけを見ると、順調に成功したEC事業者に見えるかもしれません。 でも、その裏側にはかなり泥臭い試行錯誤があります。 ECで結果が出ない時、 「もっと良いノウハウがないか」 と探したくなることがあります。 もちろん勉強は大切です。 ただ、その前に一度、 「今、自分ができることを本当に全部やっているか?」 を考えてみてもいいと思います。 DMする。 コメントする。 ライブする。 お客様に聞く。 商品を変える。 チラシを配る。 広告を少額から試す。 方法はいくらでもあります。 売れている人ほど、意外とこうした地味なことを大量にやっています。 篠原さんの話は、そのことが非常によく分かる対談でした。 音声はこちら▶︎