売上か、利益か。——広告費を上げる・下げるの判断基準をハッキリさせる 冒頭の余談。北の達人・木下社長の本、広告クリエイティブの思考整理に刺さった。今朝Xでタグ付けして投稿→ご本人からレス。今日は良い日になる予感。本題はここから。サロンメンバーから「広告費を上げるべきか、下げるべきか?」という相談。結論はシンプルだ。**“自分が何を達成したいか”を最優先に、数字で可否を出す。**感情論で迷子にならない。 まず前提:広告は売上を作るが、同時に利益を削る ・広告費を入れれば売上は伸びる。だが粗利から広告費が出ていく。 ・予算を上げるほど効率(CPA/ROAS)は基本的に悪化する。 ・だから「売上最大化」か「利益最大化」か、目的の軸を先に決める。 目的を先に決める:あなたはどっち? 1. 売上を獲りに行く(例:年商1億→2億へ) → 予算も仕入れロットも跳ね上がる。効率は多少落ちる前提で、利益“額”が増えるかで判断。 2. 利益を守る(キャッシュ重視) → 予算上限を引き、利益率と資金繰りを優先。新規獲得の速度は緩やかでもOK。 どちらも正解。**不正解は「売上も利益も欲しい」で思考停止すること。**両取りは設計して初めて成立する。 計算で決める:利益から逆算するシート思考 判断は“気合”ではなく“算数”。最低限、以下の4つを埋める。 ① 月商(売上) ② 粗利率(仕入・原価・手数料を引いた後) ③ 広告費(合計) ④ 固定費(人件費・家賃・ツール等) 営業利益 = 売上 × 粗利率 − 広告費 − 固定費 ・売上を2倍にしたい? → 現状の粗利率が維持できるか、広告費効率の悪化分を見積もる。 ・広告を増やす? → その結果、営業利益“額”が増えるかでGO/NOGO。 目安:広告増額の意思決定は、**「増額前後の3か月平均の営業利益額」**で判定する。単月のブレに引っ張られない。 現実チェック:LTVでの回収は“できる人だけ”の戦法 「CRMでLTV伸ばせば回収できる」は理論上は正しい。だが設計・運用・コンテンツが伴わないと絵に描いた餅。LTV前提で赤字獲得を許すなら、 **回収設計(何本の導線で・何日で・どのCVRで)**を文章化 **検証KPI(開封率・クリック率・2nd購入率・回収日数)**を事前定義 **回収遅延時の停止条件(赤字幅・期間)**を決めてから踏む これが無い赤字は「投資」ではなく「浪費」。 早見表:広告費を“上げる/据え置く/下げる”トリガー 上げる(GO) ・増額シミュレーションで営業利益“額”が増える ・在庫・資金繰りが耐えられる ・供給(発注ロット/製造リード)が追いつく 据え置き(HOLD) ・CPA/ROASが崩れ始めたが、訴求・面・導線のテスト余地がまだある ・クリエイティブの打ち手が枯れていない(次の5本を即投入できる) 下げる(STOP/REDUCE) ・3か月平均で営業利益額が減少 ・在庫・キャッシュに黄色信号 ・テスト済みの主要訴求が尽き、改善の仮説が立っていない クリエイティブ前提:予算より「何を伝えるか」 予算の議論の前に訴求軸。「この商品は、誰の、どの不満を、何で、どれほど、いつまでに、どう変えるのか」USPが弱い状態で予算だけ増やしても、“悪い数字を増幅するだけ”。(木下社長本で再確認。根っこはここ。) スケールの痛みは“慣らす” 年商1億→2億は別ゲーム。 ・広告費は段階的に増やして“効率の落ち幅”を観測 ・発注ロットは前倒しで自分の感覚を慣らす(請求額にビビらないため) ・仕入〜入金のキャッシュコンバージョンサイクルは常に図で見える化 「不愉快ゾーン」を意図的に作って耐性を上げる。これがスケール筋。 「赤字から学ぶ」も正解、ただし条件付き ・赤字にする“目的”が明確(スケール検証、LTV回収検証、上位階層の景色を見る) ・撤退ラインを先に決める(赤字幅・期間・在庫回転の閾値) ・検証後は学びを構造化(何が効いた/効かなかった、次はどこを変える) 赤字の経験は強い。だが無制限な挑戦はただの破綻。 1人ECの生存戦略:正解は「今」ではなく、後からつく ・正解は後付けでしか語れない。 ・だからこそ、「今の自分が腹落ちしている選択」を数字で支える。 ・目標は達成できないのが当たり前にならないように設計する。達成基準を下げるくらいなら、一度目標を置かない方がまだマシ。 実務テンプレ:週次の意思決定チェック(コピペOK) ・今週の広告費合計: ・今週の売上・粗利率: ・今週のCPA/ROAS(主要訴求ごと): ・在庫回転日数/入金サイクル見込み: ・営業利益額(今週/直近4週平均): ・来週の打ち手:新規5クリエイティブ/面変更/LP改修 ・判断:上げる/据え置く/下げる(根拠ひと言) まとめ ・目的を先に決める(売上か、利益か)。 ・利益から逆算して、広告増額は**営業利益“額”**で判断。 ・LTV回収は“できる体制”がある時だけ。 ・スケールは痛い。だが、慣らせば資産になる。 ・正解は後から付く。今は腹落ちした選択を、数字で守るだけ。 音声はこちら▶︎