はじめに:ECの失敗は「やり方」より「順番ミス」
サロンでも「やっちゃいました…」という相談、本当に多いです。
見ていて思うのは、
間違ったことをしているというより、やる順番をミスっている
パターンがほとんど。
今日は、僕が現場で何度も見てきた「ECのNG行為」と、その回避の考え方を整理しておきます。
耳が痛いところもあると思いますが、ここを押さえておくと、かなり遠回りが減ります。
NG① 最初から「デコデコLP制作」にお金をかける
LPの本来の意味を勘違いしている
まず、よくあるのがこれ。
最初の投資で、いきなり縦長でデコデコしたLPを何十万かけて作る
そもそも LP(ランディングページ)って、「広告やSNSから着地するページ」のことです。
だから、本来は下記どれも LP になり得ます。
・トップページ
・商品ページ
・特設ページ(1枚もののLP)
「LP=通販っぽい長いページ」ではないんですよね。
本当に必要なのは「ページ」ではなく“言葉”
売上をつくる本質は、いつも同じです。
・お客さんが商品のことを理解している
・ブランドを好きになってくれている
・その上で「納得感」があって買ってくれる
この「納得感」を生むのに必要なのは、
高額なLP制作ではなく、自分のブランドを表現する言葉
です。
・商品ページに載せるテキスト
・それを補う写真
・その組み合わせで伝わるかどうか
ここを自分で何十回・何百回と試行錯誤する方が、よっぽどリターンが大きい。
LP外注のリアル
ちゃんとしたLPを作るには最低でもこの3つのスキルが必要です。
1. コピーライティング
2. コーディング(HTML / CSS / JavaScriptなど)
3. 画像・デザイン制作
正直な話をすると、
「数十万で受けてくれるデザイナーさんが、売れるコピーまで作ってくれる」
…なんてケースは、まずありません。
言葉の部分は、結局自分で考えるしかない。
言葉作りから丸投げして本気で売れるLPを作ろうと思ったら、数百万単位の世界です。
スタート時点でそこにお金を突っ込む優先順位は、どう考えても低い。
NG② A/Bテスト・代理店・アフィ会社…「方法論」から入る
初期フェーズのA/Bテストはいらない
これもありがちなパターン。
「A/Bテストツールを入れて、LPもパターン分けて…」
はっきり言います。最初の段階では不要です。
もちろん「言葉の試行錯誤」は必要ですが、
それをいきなり「A/Bテストのフレーム」に載せる意味はほとんどありません。
大事なのは、もっと手前です。
・なぜお客さんは自分の商品を選んでくれているのか
・どんな一言・どんな切り口が刺さるのか
この「言葉尻」を、自分の頭で掘ること。
代理店・アフィ会社に丸投げしても土台はできない
サロン内でも「やって後悔した」声が多いのが、
・広告代理店丸投げ
・アフィリエイト会社の高額サービス
です。
彼らは「すでに売れる土台」がある前提で、広告を回すプロ。
土台そのもの(世界観・言葉・コンセプト)は作ってくれません。
そこができていないのに「方法論」だけ入れても、絶対に売上は伸びない。
まずは自分で、
「なぜ選ばれているのか? どう伝えればいいのか?」
を言語化しきること。
ここで詰まってるなら、他人の力を借りた方が早いです(コンサルでも、僕の家庭教師でも何でもいい)。
NG③ 原価率5割超えの価格設定で、そもそもビジネスになってない
原価率5割超えは、ほぼ詰んでいる
想像以上に多いのがこれ。
「原価率5割、ひどいと6割。残り2〜3割が粗利です」
この状態だと、こうなります。
・プロモーション費(広告費)がほぼ出せない
・卸を振られた瞬間に利益が吹き飛ぶ
・成長させようにもキャッシュが残らない
目の前の「1個売れた/儲かった」だけを見ていると気付きにくいですが、
事業としてはかなり危険なラインです。
理想は「粗利7割」。広告費まで見据えた設計を
ざっくりの目安として、僕はこう考えています。
粗利率:7割を目指す(=原価率3割前後)
広告費:売上の20%前後(LTVが高いなら最大30%まで)
※商品ジャンルやサイズによって多少ブレますが、考え方の軸として。
よくある言い訳が、
「スーパーの商品を調べたらこの価格帯だった」
「楽天でこれくらいなので、それに合わせました」
ですが、その価格帯は大量ロット・大量流通前提の世界です。
小さなECがそこに合わせたら、そりゃ詰みます。
「値上げできない」は、かなり致命的
厳しいことを言いますが、
「値上げできない」は、自分の問題です。
・自分の商品に自信がない
・価値を伝える言葉を詰め切れてない
・顧客にきちんと説明していない
どこかで、これが必ず引っかかっています。
値下げしてギリギリ回るビジネスを続けるより、
値上げしてでも続けられる構造を作った方が、長期的には絶対に楽です。
NG④ 自己評価だけ高く、試行錯誤が圧倒的に少ない
「言われた通りやってます」の中身がスカスカ
現場でよくある会話。
「三浦さんが言う通りやってるんですけど、売れないです」
よくよく聞くと、
ブログ:1本だけ書いた
広告:1クリエイティブだけ出した
キャンペーン:1パターンだけ試した
…みたいなケースが山ほどあります。
これはもう、単純に
行動量と試行錯誤の回数が圧倒的に足りていない
だけです。
自己評価が高いと、行動量が増えない
全員ではないですが、
・自己評価だけやたら高い
・それに対して成果が伴っていない
こういう人は、試行錯誤の回数が少ない傾向がかなり強いです。
・「自分はできているつもり」だから、改善の必要性を感じない
・人からのフィードバックを素直に受け取りにくい
・「うまくいかない理由」を外側に探しがち
結果として、いつまでも同じところで足踏みします。
メタ認知と「人に聞く力」が必須
大事なのは、
・自分を客観視する(メタ認知)
・「どこができていないか」を他人に指摘してもらう
この2つです。
自分で自分を完璧に評価するのは不可能です。
だからこそ、ちゃんと指摘してくれる人・一緒に考えてくれる人に頭を下げて相談した方が早い。
NG⑤ すぐ外注して、自分でツール・システムを触らない
Shopify丸投げ制作の悲劇
これも本当に多いです。
「Shopifyの管理画面をほぼ触らないまま、サイト制作を丸投げ」
結果どうなるか。
・トップページの更新方法がわからない
・デザインが全部Liquidでガチガチに組まれていて、自分で触れない
・補助金で安く作ったはずが、結局更新のたびに追加費用
正直、めちゃくちゃもったいないです。
Shopifyの標準機能だけでも、
ドラッグ&ドロップでかなりのことができます。
1回、自分の手で触ってみてから外注する。
これだけで、ムダな30万・50万は簡単に減らせます。
広告運用を代理店丸投げするのも同じ
広告運用もまったく同じ構造です。
「売れる土台(言葉・訴求・商品設計)」を作るのは、自分の仕事
代理店は、その土台の上で配信・最適化をしてくれる存在。
土台がないまま丸投げしても、結果は出ません。
NG⑥ 「アプリありき」で考えて、本質を見失う
予約販売の例
「予約販売はどのアプリがいいですか?」
これも、よく聞かれる質問です。
でも、本来考えるべき順番はこうです。
1. 予約販売とは何か?
2. 自分とお客様の間で「何が満たされていればOK」なのか?
・いつ届くかが分かる
・決済タイミングが明確
・通常商品と混同しない
ここが整理できていれば、
・商品名に【予約販売/◯月◯日頃発送】と入れる
・商品説明欄に納期を太字で書く
この程度で解決するケースも多いです。
アプリはあくまで「手段」。
目的と要件を言語化してから、本当に必要かどうかを判断した方がいい。
「質問の仕方」も結果を大きく左右する
ちょっとECから逸れますが、これも大事なので。
質問が下手な人は、それだけで損します。
ポイントは3つだけです。
1. 自分を客観視する
いま自分はどこで詰まっているのか
2. どうしたいかを決める
「AとBで迷っていて、自分はA寄りで考えています」
3. 具体的な課題として聞く
「こういう状況で、こうしたいと思っています。どう思いますか?」
NGなのは、
「こういう状況なんですけど、どう思いますか?」
だけ投げてくるパターン。
それは相手からすると「知らんがな」です。
おわりに:正しいことはしんどい。でも、そこから逃げない
ここまで書いたことは、どれも
・地味
・しんどい
・すぐに楽はできない
ことばかりです。
・言葉を何十回も練り直す
・原価と価格を数字で見直す
・自分の行動量の少なさを直視する
・ツールやシステムを自分の手で触ってみる
・頭を下げて、ちゃんと人に聞く
正直、楽な道ではない。
でも、ここから逃げ続ける限り、ECはずっとしんどいままです。
逆に言うと、今日書いたNG行為を一つずつ潰していけば、
小さなブランドでも、ちゃんと伸びていきます。
「自分、どれやっちゃってるかな?」
と、一度冷静に棚卸ししてみてください。
