札幌の名店がECへ。新規獲得の壁をどう越えるか?
— トラノイスパイス・ヤマグチさんと三浦の公開壁打ち —
札幌で24年間カレー屋を続け、地元に愛されてきた「トラノイスパイス」。
ヤマグチさんは、2023年11月にビルの立ち退きで閉店を余儀なくされ、そこから「スパイスを残すために」ECへ挑戦しました。
2024年5月にクラファン(Makuake)をスタートし、10月にオンラインストアをオープン。
ただ、次にぶつかったのが大きな壁。
“店を知っている人”は買ってくれる。
でも、“店を知らない人”にどう届かせる?
今回の対談は、その壁を越えるための「訴求軸」「コンテンツ」「商品設計」のヒントが、コメント欄も含めて爆発した回でした。
既存ファンは強い。でも課題は「新規」
ヤマグチさんの店は、閉店が決まってから連日行列。
札幌の人なら「名前を出せばわかる」くらいの認知があったそうです。
だからこそECでも、過去のファンが見つけてくれたら買ってくれる。
一方で、店を知らない新規への入口が足りない。
ここで三浦が整理したのはシンプルで、
・「スープカレー」という商品名で押すのか
・それ以外の“刺さる入口”を作るのか
この判断が、今後の伸びを決めるという話でした。
「スープカレーって全国で伝わる?」問題
ヤマグチさんの悩みはリアルでした。
北海道では定番でも、全国では
「スープカレー=そもそも知らない/動かない」
可能性があるんじゃないか?
この仮説に対して三浦が出した答えは、かなり強め。
「じゃあ、入口を“ヘルシー”に変えたらいい」
スープカレーは
・小麦粉を使わない
・油が少ない
・鶏肉・玉ねぎ・トマトで作れる
つまり、「カレー=重い」の常識をひっくり返せる。
“スープカレーを知らない”は弱点じゃなくて、
“ヘルシーなカレーの新体験”として見せれば武器になる。
応援したくなる“親子ストーリー”は、新規にも刺さる
対談中、参加者から出たのがめちゃくちゃ重要な視点。
「両親の味を残したまま頑張るプロセスは、応援したくなる」
ここで三浦が確認したのが本質です。
・母の味を残したいのか
・スパイス好きとして自分の道を作りたいのか
ヤマグチさんは即答でした。
「残したいです」
ここがブレないなら、
**立ち退きで閉店になった“やむを得なさ”**も含めて語ったほうがいい。
「閉店した」より
**「立ち退きで閉めざるを得なかった」**の方が、受け取られ方が全然違う。
新規の人ほど、その背景を知らないからこそ刺さる。
“記事の内容”をショート動画に変換するやり方
ヤマグチさんが出した記事
**「お店を継がなかった5つの理由」**がすごく反応が良かった、という話が出ました。
ここに三浦が乗せたアイデアが強い。
・カレーを作っている映像(手元・全身)を撮る
・早回しで“ずっと見ちゃう映像”にする
・記事の内容をナレーションで入れる
・CapCutなどで自動字幕(オートキャプション)をつける
つまり、文章を資産にして、動画に変換していく。
ショートで「一発で理解」よりも、
今年はむしろ
“わかりにくいことを回りくどく語るコンテンツ”が刺さる
という三浦の肌感とも一致していました。
「買ったのに作らない」問題:食事は“家族の心理”が壁になる
ここ、めちゃくちゃリアルな話が出ました。
三浦は買ったけど、まだ作ってない。
理由は味でも商品でもなく、家庭の段取り。
・料理は奥さんが作る
・いきなり「これ作って」は言いづらい
・レシピ説明・材料調達の会話が増える
・“家庭のめんどくささ”がワンクッションになる
サプリやプロテインは自分だけで完結するから即使う。
でも「食事」は家族を巻き込むから止まる。
ここは対策の余地が大きくて、例えば
・買ったあと1回目を作らせる導線(超簡単レシピ/買い物リスト/動画)
・「今日はこれ」って言える提案型コンテンツ(献立化)
・家族用にアレンジできる方法(子ども向けに辛さを落とす等)
このあたりを“購入後フォロー”に組み込むだけで、リピート率が変わります。
ギフト需要が強い:のし対応はデカい
参加者から実体験の声が出ました。
・ロゴやデザインが可愛い
・香りが外まで伝わるくらい良い
・市販スパイスと違う
・ギフトにして喜ばれた
・のしが付けられるなら最高
ヤマグチさんは 「のし対応できます」 と即答。
これ、もっと前に出していいやつです。
ギフトは「高くても買う」領域。
しかもスパイスは
“好きな人の周りにも好きな人が多い”
という拡散構造がある。
ギフト導線は、新規獲得の裏ルートになります。
「子どもがいる家庭」向けの突破口:あとがけスパイス
コメントで一気に盛り上がったのがここ。
・家族は甘口
・自分は辛口が食べたい
・でも別で作るのは面倒
だから
**「あとがけで大人味にできるスパイス」**が欲しい。
ヤマグチさんの商品には、すでに
ガラムマサラやブレンドスパイスがある。
つまり、訴求してないだけで
“家庭内の分断を解決する商品”になり得る。
単価が安いから訴求しにくい…という悩みもありましたが、
三浦ははっきり言ってました。
「刺さる人には刺さる。訴求軸は絞らなくていい。全部出して広告で回せ」
これは正論です。
乳酸菌で辛さを抑える:コンテンツとして強すぎる小ネタ
ヤマグチさんのプロ知識が出た瞬間、みんな反応しました。
「辛さを抑えるのは乳酸菌」
・甘くするだけでは辛さは消えにくい
・ヨーグルト、ラッシーなど乳酸菌が効く
これ、普通に
・ブログネタ
・リールネタ
・メルマガ件名ネタ
全部になります。
「辛さが消える魔法」みたいな見せ方もできるし、
“スープカレー=辛い”の誤解も同時にほどけます。
レトルトは作らない。でも「レトルト×スパイス」はアリ
レトルト商品化は、試したことはあるが
スパイス感が消えてしまうので方向転換した、という話も出ました。
ただし発想を切り替えると、
・レトルトを作るのではなく
・市販レトルトに足すスパイス
・市販ルーに混ぜるスパイス
ここは“新規の入口”としてかなり強い。
忙しい人はレトルトを食べます。
そして多くの人が「物足りない」と思ってます。
そこに
“カレー屋が教える、レトルトを旨くする方法”
が刺さらないわけがない。
スープカレーの食べ方すら、コンテンツになる
最後にめちゃくちゃ良いネタが出ました。
・ご飯をスープに浸す派(札幌市民)
・ライスとスープを別で食べる派(ツーの人)
これ、当たり前だけど知らない。
だからコンテンツになります。
「正しい食べ方、実は2種類あります」
こういうのは保存されます。
まとめ:新規獲得の打ち手は「入口を増やす」だけ
今回の結論は、かなり明確です。
スープカレー一本で押す必要はない。
入口を増やして、当たる訴求を拾いにいく。
具体的にはこの8本が強い:
1. ヘルシーなカレー(小麦粉不使用・油少なめ)
2. 親子ストーリー+立ち退き閉店(応援される文脈)
3. 記事→動画化(調理映像×ナレーション×字幕)
4. 購入後に作らせる導線(家族の心理ハードル対策)
5. ギフト訴求(のし対応)
6. 子どもがいても大人味にできる“あとがけスパイス”
7. 乳酸菌で辛さを抑える小ネタ
8. 市販レトルト/ルーを旨くするスパイス活用
この中でどれが当たるかは、やってみたらすぐ分かります。
当たったやつを広告で回せば、新規は伸びます。
