【メンバー対談】金属アレルギー対応アクセサリーECが2年で伸びた理由。レビュー7,000件を生んだ「凡事徹底」の運営術 今回は、ひとりECサロンメンバーの木村さんをゲストに迎え、金属アレルギー対応の女性向けアクセサリーブランドについてお話を伺いました。 木村さんは現在、金属アレルギーに悩む女性に向けたアクセサリーブランドを2つ運営しています。 ブランドを始めて約2年。 現在はアルバイト5名、業務委託3名の合計8名ほどのチームで運営しており、商品数は約800SKU。レビューもすでに7,000件を超えているとのことでした。 話を聞いていて改めて感じたのは、伸びているECほど、何か特殊な裏技をやっているわけではないということです。 レビューを集める。 購入点数を増やす。 商品ページを改善する。 梱包にこだわる。 動画を増やす。 再入荷のタイミングを固定する。 広告クリエイティブをたくさん出す。 どれも一つひとつだけ見れば、ECではよく聞く施策です。 ただ、それを「ちゃんとやり切っている」。 そこに大きな差がありました。 今回は、木村さんがどのように市場を選び、ブランドを立ち上げ、現在の規模まで伸ばしてきたのか。具体的な施策を含めて整理していきます。 大学生時代のせどりから始まった、木村さんの起業人生 まず最初に、木村さんが現在のアクセサリーECを始めるまでの経歴を伺いました。 木村さんは大学時代、服が好きだったことから、古着などの「せどり」を始めたそうです。 大学卒業後もそのまま就職せず、しばらくフリーター生活をしていました。 転機になったのが23歳の頃です。 当時、お金に困っていたところ、東京で賞金300万円のビジネスコンテストが開催されていることを広告で知ったそうです。 「300万円欲しいな」 というところから応募したところ、結果はなんと優勝。 ただし、賞金を受け取る条件として「会社を作ること」が設定されていました。 そこで24歳の時に法人を設立します。 最初に始めたのは、ファッションのサブスクリプションサービスでした。 月額料金を支払うと洋服を借りられるという、今でいうファッションレンタルのような事業です。 現在では似たサービスも増えましたが、約16年前ということを考えると、かなり早いタイミングで取り組んでいたことになります。 ところが、このサービスはうまくいきませんでした。 25〜26歳頃には事業を断念。 次に始めたのが、「ZOZOTOWNの個人ショップ版」のようなECモールでした。 全国の古着屋や雑貨屋など、街の個人店を集め、オンライン上で販売できる仕組みです。 最終的には約1,200店舗まで参加店舗が増えたそうです。 数字だけを見るとかなり大きなサービスですが、問題は売上でした。 当時は、個人の古着店などがオンライン販売に積極的ではありませんでした。 一点物も多く、「売れるかわからないモールのためにわざわざ商品登録をする」という負担も大きかった。 結果的に店舗数は増えても、なかなか売上につながらなかったそうです。 モール集客のために始めたブログが月間2,000万PVへ そんな中、木村さんはモールへの集客施策としてブログを書き始めます。 例えば、 「京都のおすすめ古着屋10選」 のような記事です。 もともと個人ショップや古着屋に詳しかったため、その知識を記事にして発信していました。 すると、そのブログが大きく伸び始めます。 最初は月間100万PVほど。 さらに伸び続け、広告を入れれば月に10万円、20万円、30万円と収益が増えていきました。 そこでECモールをやめ、ブログを本格的にメディア化。 最終的には、月間2,000万PV規模まで成長したそうです。 その後、自社で培ったSEOやWeb集客のノウハウをもとに、他社の集客支援やコンサルティング事業も開始。 34歳の頃、その会社を売却しました。 その後3年間ほどロックアップ期間があり、37歳まで会社に残り、退職。 約1年間何もせず過ごした後、現在のアクセサリー事業をスタートしたそうです。 つまり現在のECは、単に「アクセサリーが好きだから始めた」というブランドではありません。 それまで長年積み上げてきた、 ・SEO ・Webマーケティング ・EC ・集客 ・コンバージョン改善 といった経験をもとに、「どの市場なら勝てるか」を考えて参入した事業です。 市場規模は「業界全体の数字」ではなく、現場の数字を見る では、なぜ金属アレルギー対応のアクセサリーを選んだのでしょうか。 木村さんが考えた軸は、 「ファッション」 と 「通販」 の2つでした。 自分の得意な領域を掛け合わせ、その中で市場規模と競合状況を見ていったそうです。 大手企業が大量に参入している市場では正面から戦いづらい。 そこで、 「大人の女性」「アクセサリー」「金属アレルギー対応」 というように少しずつ市場を絞っていきました。 ここで面白かったのが、市場規模の調べ方です。 一般的に新規事業を考える時、 「○○総研によると、この市場は2,000億円」 というような業界レポートを見る人も多いと思います。 ただ木村さんが見ていたのは、もっと現場に近い数字でした。 例えば、 ・Googleの検索ボリューム ・競合ブランドのSNSフォロワー数 ・上位ブランドの規模感 ・EC上でどの程度売れていそうか といった数字です。 これは三浦もかなり共感した部分です。 業界全体で何千億円あると言われても、自分がその市場で売れるかどうかは別問題です。 それよりも、 「実際に検索している人は何人いるのか」「競合ブランドには何人フォロワーがいるのか」「トップブランドはどの程度売れていそうなのか」 を見る方が、小さなEC事業者にとっては圧倒的に現実的です。 競合の内部構造まで徹底的に調べてから参入 さらに木村さんは、競合についてかなり深く調査していました。 M&Aの売買サイトなどに掲載されている同業サービスの情報を確認し、実際に事業者から数値を見せてもらったこともあったそうです。 売上だけではなく、 ・原価率 ・広告費 ・利益構造 ・商品構成 なども確認。 複数社を見ることで、 「この業界はだいたいこのくらいの原価率」「広告費はこの程度かかる」「こういう商品構成になっている」 という共通項を掴んでいきました。 また、製造については中国で行っています。 ただし最初は、 「どの工場で作ればいいのか」「どの素材なら金属アレルギーに対応できるのか」 といった部分がわかりません。 そこで、すでに業界で事業をしていた方にお願いし、1ヶ月だけコンサルティングを依頼。 製造先や商品開発の流れなど、立ち上げに必要な部分を教えてもらい、そこから自分たちでブランドを構築していったそうです。 何も知らない状態から全部自己流で探すのではなく、すでに経験している人から短期間で情報を買う。 これも、新規事業を立ち上げる時には非常に合理的な考え方だと思います。 ブランド成長の大きな要因は「レビュー7,000件」 現在、ブランドが順調に伸びている理由を聞いたところ、木村さんが最初に挙げたのが「レビュー」でした。 現在のレビュー件数は7,000件以上。 なぜレビューを重視したのでしょうか。 木村さんが参入した当時、比較的安価な金属アレルギー対応アクセサリーを通販で販売している会社を見ると、レビューが少なかったり、評価があまり良くなかったりするケースが多かったそうです。 そこで、 「お客様は少し不安を感じながら買っているのではないか」 と考えました。 金属アレルギー対応の商品は、 「本当に大丈夫なのか」「安いけれど品質は問題ないのか」 という不安が生まれやすい商品です。 そこで大量のレビューを蓄積できれば、それ自体が大きな信頼になります。 結果的に、現在はレビュー数が競合との差別化要素の一つになっています。 レビューを増やすために、特別な裏技はやっていない では、7,000件ものレビューをどうやって集めたのでしょうか。 答えは意外なほどシンプルでした。 Shopifyのレビューアプリ「Judge.me」を利用し、 購入後にレビュー依頼を送る。 さらにリマインドも送る。 購入時にもレビュー投稿について案内する。 また、初回レビュー投稿者にはクーポンを配布することもあります。 つまり、ものすごく特殊な施策をしているわけではありません。 「レビューを書いてください」とちゃんとお願いする。 そして、一度だけではなくリマインドする。 それを徹底しているだけです。 三浦もECの相談を受けていると、 「レビューを増やすにはどうすればいいですか?」 とよく聞かれます。 ただ、実際に確認するとレビュー依頼を十分にしていないケースも珍しくありません。 レビューを増やしたければ、まずはきちんとお願いする。 当たり前ですが、ここを徹底することが重要です。 「レビュー率」だけではなく「1人当たり購入点数」を増やす もう一つ非常に面白かったのが、 「レビューを書く人を増やすのではなく、1人が買う商品数を増やす」 という考え方です。 例えば1人のお客様が商品を1点買えば、レビュー候補は1件です。 一方で、3商品買ってもらえば、レビュー候補は3件になります。 つまりレビュー率を上げるだけではなく、 「1注文あたりの商品点数を増やす」 ことでもレビュー総数は増やせます。 そこで木村さんは、クロスセルをかなり重視しています。 具体的には、 カート画面で関連商品を表示 閲覧履歴に基づいてAIでおすすめ商品を表示 他商品への回遊を促す 送料無料条件を設計する といった施策です。 三浦も以前、プロテイン販売時にシェイカーをクロスセルで提案したところ、大きく売上が伸びた経験があります。 「シェイカーなんて100円ショップでも買えるから、990円では売れないだろう」 と思っていたものの、実際にはしっかり売れました。 お客様は、存在を知らなければ買えません。 欲しいものを適切なタイミングで提案するだけでも購入点数は変わります。 売れているECほど「凡事徹底」が強い ここまでの話を聞いていて、三浦が感じたのが、 「結局、売れている人ほど原理原則をやっている」 ということです。 クロスセルを設定する。 レビュー依頼をする。 購入後のフォローをする。 梱包を良くする。 商品ページを改善する。 これだけを見ると、ものすごく地味です。 ただ木村さんも、 「本当に当たり前のことを、どれだけ積み上げられるかだと思っています」 と話していました。 一撃で売上が倍になる魔法の施策があるわけではありません。 小さな改善を一つずつ積み重ねていく。 伸びているECほど、これを高いレベルで続けています。 安価な商品だからこそ「想像以上」を届ける 木村さんが特に意識しているのが、 「お客様を感動させること」 です。 感動とは何か。 木村さんは、 「事前の想像よりも、実際に届いたものが良かった時に生まれるギャップ」 だと考えています。 木村さんのブランドは、アクセサリーの中では比較的手頃な価格帯です。 だからこそお客様の中には、 「安いから、そこまで品質は期待できないかもしれない」 という気持ちもあります。 その状態で、 「思っていたより品質が良い」「梱包が丁寧」「メッセージまで入っている」 となれば、期待値を超えられます。 それがレビューにもつながります。 梱包と手書きメッセージにも徹底的にこだわる 木村さんのブランドでは、梱包にもかなりこだわっています。 特に特徴的なのが、手書きメッセージです。 商品を購入すると、手書きのメッセージが同梱されます。 さらに、 1回目の購入2回目3回目4回目5回目 で、それぞれメッセージ内容を変えているそうです。 お客様の購入回数は、Shopifyと発送会社のシステムを連携させて管理。 発送会社側で購入回数を判別し、それぞれに合ったメッセージを同梱してもらっています。 これも非常に良い仕組みです。 リピーターなのに毎回、 「初めてのご購入ありがとうございます」 と書かれていたら違和感があります。 逆に、 「今回もありがとうございます」 と自分の購入履歴に合わせたメッセージが届けば、 「ちゃんと見てもらえている」 と感じます。 こうした小さな体験の積み重ねが、ブランドへの信頼につながります。 購入後の顧客体験まで設計するとレビューは増えやすい 三浦が普段、自社ECでかなり重視しているのも購入後の体験です。 例えば購入完了画面に、 「何かあればLINEで相談してください」 と案内したり、YouTube動画を掲載したりしています。 商品が売れた時点でEC運営が終わるのではありません。 むしろ、 「買った後にどう接するか」 が、その後のレビューやリピートに大きく影響します。 実際、三浦のショップで高評価レビューを書いてくれるお客様を見ると、 「あ、この人は以前LINEで相談してくれた人だな」 とわかるケースも多くあります。 購入後のサポートが弱いショップは、商品に満足しても、それをわざわざレビューとして書いてもらえないことがあります。 商品そのものだけではなく、購入後も含めて「良い買い物だった」と思ってもらう。 ここは非常に重要です。 ただし、1対1コミュニケーションは仕組み化とのバランスが必要 一方で、木村さんのブランドでは、三浦ほどフランクな1対1コミュニケーションは行っていません。 問い合わせがあれば対応しますが、積極的なDMコミュニケーションまでは実施していないそうです。 理由の一つは、事業規模です。 顧客数が増えるほど、 「いつでも自由に連絡してください」 という窓口を作ると、スタッフの負担も大きくなります。 一部のお客様から大量の問い合わせが来ることも考えられます。 顧客との距離を近くすることは強い施策ですが、規模が大きくなればなるほど、仕組みとのバランスが必要になります。 ただ、ここまで丁寧な梱包や商品体験を作っているのであれば、 「感動した気持ちをお客様が吐き出せる場所」 は何かしらあった方が良いのではないか、という話も出ました。 これは今後のブランド運営における一つのテーマになりそうです。 約800SKUでも商品ページの7割に動画を掲載 現在、木村さんのブランドでは約800SKUの商品を扱っています。 アクセサリーECでは、 「実際につけた時にどう見えるのか」 が非常に重要です。 そこで商品ページの約7割に動画を掲載しています。 将来的には8〜9割まで増やしていきたいとのことでした。 静止画だけでは、 「耳につけた時のサイズ感」「光が当たった時の見え方」「揺れ方」「着用時の雰囲気」 まで伝え切れません。 その点、動画は圧倒的に情報量が多くなります。 また、SNSでもインフルエンサーに大量の着用動画を制作してもらっています。 アパレルやアクセサリーは、商品そのものがコンテンツになります。 SNSを見ている中で、 「これかわいい」「欲しい」 と直感的に思ってもらえる。 健康食品のように説明や教育が必要なカテゴリーとは、また違った強みがあります。 商品ページ作成はスタッフとAIを活用して仕組み化 800SKUもあれば、当然商品ページを作る作業量も膨大です。 ここはアルバイトスタッフにかなり任せているそうです。 さらにAIも活用し、商品ページ作成を効率化しています。 その他、 ・商品選定 ・中国工場とのやり取り ・検品 ・動画制作 なども担当者を配置。 木村さん自身がすべて手を動かすのではなく、それぞれの業務を分担する仕組みができています。 現在は中国から届いた商品を一度すべて自社に入れ、1点ずつ検品。 その後、国内の発送会社へ送り、 ・在庫管理 ・箱詰め ・発送 を依頼しています。 中国側ですべて完結させることもできますが、品質面を考えて国内で検品を入れているそうです。 「安く売るために何でも効率化する」のではなく、品質を担保すべき部分には手間をかけています。 新作・再入荷は「毎週同じ曜日、同じ時間」に固定する 新作や再入荷についても、非常に参考になる話がありました。 木村さんのブランドでは、 「毎週○曜日の○時」 と、新作・再入荷のタイミングを固定しています。 これを長期間続けると、 「今日は新作の日だ」 とお客様が覚えてくれるようになります。 結果的に、その時間になると多くのお客様がサイトへ訪れるようになったそうです。 これはInstagram LIVEなどと同じです。 不定期に開催するより、 「毎週水曜日の20時」 と固定した方が習慣になります。 EC側から毎回思い出してもらうのではなく、 「その曜日になったら自然と思い出してもらえる」 状態を作る。 非常に強い運営方法です。 さらに新作については、発売の1週間ほど前からサイトに掲載し、事前告知も行っています。 発売当日に突然商品を出すのではなく、 「次はこれが出ます」 と期待値を高めておくわけです。 リピート率は約25%。商品追加が来店理由になる 現在のリピート率は約25%とのこと。 アクセサリーは消耗品ではないため、食品のように、 「なくなったからまた買う」 という商品ではありません。 だからこそ、 「新作が出る」「再入荷する」 こと自体がお客様が再訪する理由になります。 定期的に新しい商品が加われば、 「今週は何が出たんだろう」 と見てもらえる。 アパレルやアクセサリーでは、新商品投入そのものがCRM施策になります。 集客の中心は広告。ただしSNSもしっかり運用 集客について聞くと、現在は広告が中心とのことでした。 SNSも運用していますが、売上へのインパクトが最も大きいのは広告です。 では、どんなクリエイティブが当たるのでしょうか。 ここについては、 「これが必ず当たる、という共通項はあまりない」 という回答でした。 例えば、 ・商品ページ用のシンプルな動画 ・インフルエンサーの着用動画 ・その他の動画クリエイティブ など、どれも当たる時は当たります。 逆に、 「これは絶対売れるだろう」 と思ったインフルエンサー動画が全く当たらないこともあります。 フォロワー数が40万人いるインフルエンサーだから売れるとは限りません。 逆に、フォロワーがそれほど多くない人の動画がものすごく売れることもあります。 このあたりは三浦の広告運用でも同じです。 結局、 「出してみないとわからない」 部分が大きい。 だからこそ、クリエイティブは大量に作り、テストすることが重要です。 木村さんのブランドでも、動画はかなりの本数を継続的に作っています。 アパレルではカタログ広告との相性も良い アクセサリーやアパレルでは、Meta広告のカタログ広告も相性が良いそうです。 商品数が多いECでは、ユーザーの興味に合わせて商品を出し分けられるため、特に強い施策になります。 健康食品のように1商品を深く説明する商材とは広告構造が違います。 多数の商品を並べ、 「この中に欲しいものがある」 という状態を作れるのがファッションECの強みです。 競合との差別化は「一つの大きなUSP」ではなく小さな差の集合 現在、金属アレルギー対応アクセサリーはかなり増えています。 「その中でどう差別化していますか?」 という質問に対し、木村さんは、 「これ一つというものはなく、小さなものの積み上げ」 と答えていました。 例えば、 ・レビューが7,000件ある ・多くの商品ページに動画がある ・大人女性向けのビジュアルを作る ・梱包が丁寧 ・手書きメッセージがある ・新作や再入荷が定期的 ・サイトが買いやすい ・クロスセルが設計されている こうした一つひとつが差別化になります。 競合と全く違う商品を作らなければ勝てないわけではありません。 同じような商品でも、 「写真の見せ方」「動画」「サイト体験」「レビュー」「購入後体験」 が違えば、十分に戦えます。 「アパレル会社がECをやる」のではなく「Webマーケ会社がアパレルをやる」 木村さんが市場参入時に感じたのは、 「既存の競合は、アパレル会社が通販をやっている」 という印象だったそうです。 商品選びやファッションセンスは良い。 ただ、 「通販でどうコンバージョンを上げるか」 という設計が弱いショップが多かった。 一方、木村さん自身はWebマーケティング出身です。 そのため発想は逆で、 「Webマーケティング会社がアパレルに参入する」 というイメージでした。 商品だけではなく、 ・商品ページ ・レビュー ・クロスセル ・回遊率 ・カート ・広告 ・リマーケティング ・動画 ・配送 ・購入後体験 まで、通販として最適化する。 ここが競合との差になっています。 三浦も商品開発をする際、 「競合よりクリエイティブ能力で勝てるか」 を判断材料にすることがあります。 まったく新しい商品でなくても、 「競合より圧倒的に良いLPを作れる」「広告を作れる」「写真を作れる」「販売導線を作れる」 のであれば十分に勝ち目があります。 競合がいること自体は悪いことではありません。 むしろ市場が存在する証拠です。 重要なのは、 「自分たちがどこで勝てるのか」 を見つけることです。 あえてモールに出店しないという選択 木村さんのブランドは、現在モールには出店していません。 楽天市場やAmazonなどに出せば、売上を増やせる可能性もあります。 それでも出店しない理由は、 「自社ECで作っている強みが薄くなるから」 です。 例えば、自社サイトには7,000件のレビューがあります。 しかし新しくモールへ出店すれば、そのレビューはゼロからのスタートです。 また、 ・サイト全体の世界観 ・商品ページ ・購入導線 ・クロスセル ・顧客体験 なども、自社ECほど自由には作れません。 価格比較もしやすくなります。 そのため、 「他社と同じ土俵に乗らない」 という意味でも、現時点では自社EC中心を選んでいるそうです。 ECだからといって、Amazon、楽天、自社ECの全部をやる必要はありません。 自分のブランドの勝ち筋に合わせて販売チャネルを選ぶことが大切です。 ブランドの「想い」は全員がトップページに大きく出す必要はない 対談の最後に、木村さんから三浦へ質問がありました。 「三浦はブランドの想いや、なぜこの商品を販売しているかを伝えることが大切と言っていますが、トップページの一等地に出すと離脱率が上がる気もします。どう考えていますか?」 これについて三浦の答えは、 「木村さんのようにすでにマーケティングが機能していて、売れているブランドなら優先順位はそこまで高くない」 というものです。 三浦が「想いを伝えた方が良い」と話すケースの多くは、 ・月商100万円未満 ・Webマーケティングがまだ得意ではない ・商品の強みを言語化できない ・競合との差を表現できない といった事業者です。 その場合、 「自分がなぜこの商品を作ったのか」「誰に届けたいのか」 は、自分自身が一番語りやすいコンテンツです。 だからこそ、まずそこから発信することを勧めています。 一方で木村さんのように、 ・市場分析 ・サプライチェーン ・広告 ・EC設計 ・商品ページ ・顧客体験 がすでに機能しているブランドの場合、必ずしもトップページの一番上に長いブランドストーリーを載せる必要はありません。 もし今後ブランドの想いを加えるなら、 「印象に残っているお客様の声」 を一つ拾ってみるのが良いのではないか、という話をしました。 例えば、 「金属アレルギーでアクセサリーを諦めていたけれど、久しぶりにおしゃれを楽しめました」 といったお客様のストーリーです。 そこから、 「このブランドは、こういう人のために存在しています」 と一言で表現できれば、ブランドの芯になります。 創業者自身の長いストーリーでなくても構いません。 お客様の喜びをブランドのストーリーに変える。 これも一つの方法です。 まとめ|売れるECは「当たり前のことを高いレベルで続ける」 今回、木村さんの話を聞いて最も印象に残ったのは、 「一撃で売れる施策はない」 ということです。 市場を丁寧に調べる。 競合を見る。 良い商品を選ぶ。 商品ページを作る。 動画を入れる。 レビューを依頼する。 クロスセルを設定する。 梱包を丁寧にする。 手書きメッセージを入れる。 新作の曜日を固定する。 広告をたくさんテストする。 どれも、EC運営をしている人なら一度は聞いたことがある施策だと思います。 ただ、それを本当に全部やっているショップは意外と多くありません。 何か新しいツールを入れれば売れる。 AIを使えば売れる。 最新の広告手法を使えば売れる。 どうしてもそう考えたくなります。 もちろん、新しい技術を使うことも重要です。 ただ、売れているショップほど、その前に基本を徹底しています。 レビュー依頼を1回で終わらせない。 商品ページにはできる限り動画を入れる。 買った後まで喜んでもらう。 一人のお客様に、もう1商品提案する。 決まった曜日に新作を出し続ける。 こうした小さな積み重ねが、2年、3年経つと大きな差になります。 今回の木村さんのECは、まさに「凡事徹底」の強さが非常によく分かる事例でした。 ECを運営していて、 「何か新しい施策をやらなければ」 と考えている方は、一度自分のショップを見直してみてください。 レビュー依頼は十分できているか。 クロスセルは設定しているか。 商品ページで使用イメージを伝え切れているか。 購入後に感動してもらえる工夫はあるか。 再来店する理由を作れているか。 意外と、まだ改善できる基本施策が残っているかもしれません。 特別な一発を探す前に、まずは当たり前のことを一つずつ高いレベルで積み上げる。 それが結局、一番強いEC運営なのだと思います。 音声はこちら▶︎