今日は「年末の広告費、高すぎ問題」について、僕なりの考えと、サロン内で出てきた話をまとめておきます。
結論から言うと、
年末の広告費が高くなるのは「仕様」なので、基本はジタバタしない。
どうしてもキツいなら「予算を落として利益を守る」くらいしか現実的な対策はない。
このスタンスでやっています。
なぜ年末は広告費が高騰するのか?
まず前提として、僕らがメインで使っているのは
・Meta広告(Instagram/Facebook)
・Google広告
この2つは、どちらも 入札制 で動いています。
入札制って何かというと:
・広告を出したい人が10人 → 広告枠の取り合いはそこそこ
・それが20人に増える → 「私もっと出します」「いや、うちはもっと」になって、単価が上がる
さらに、
・1人あたりが使う予算が増えるほど
・全体の広告費はさらに吊り上がっていく
この「参加者の数 × 使う金額」が増えるタイミングが、
まさに 年末〜年度末(3月) です。
年末に広告費が上がる理由
年末はほぼ「広告費高騰イベント」です。理由はシンプルにこの2つ。
1. 年末商戦(セールラッシュ)
・ブラックフライデー
・クリスマス
・年末セール
みんな一斉に広告を焚いて売上取りに来ます。
2. 決算&予算消化
「今期の予算まだ余ってるから、年末に広告使っておこう」
という企業がめちゃくちゃ増えるのが、11〜12月・3月あたり。
その結果、同じ枠を取り合う人が一気に増える。
だから、広告費が高騰するのは、正直“社会の構造上そうなる”だけの話 です。
具体的に何が高くなるのか? CPMの話
MetaやGoogleで実際に上がるのは、主に CPM(インプレッション単価) です。
CPM=「広告が1,000回表示されるのにいくらかかるか」
例えば:
・10月のCPM:2,000円
・同じ配信設定で12月:3,000円
こういうことが普通に起きます。
つまり 広告コストが1.5倍。
何もしなくても、
・「クリック単価が上がる」
・「CPAも上がる」
・「広告の費用対効果が下がる」
これが「年末は広告がしんどい」の正体です。
季節性もセットで覚えておく
僕自身も、自社の数字と他社の話を総合して考えると、ざっくりこんな感覚があります。
10月〜11月:広告効率が落ちやすい
12月:年末商戦でCPM爆上がり
1月:福袋・セールでまた競争が激化
2月:ニッパチの法則でそもそも売れにくい
「なんか10月以降、毎年調子悪くない?」
と思って過去の決算見たら、ちゃんと数字にも出てました。
つまり、
「年末周りがしんどい」のは、自分の腕が急に下手になったわけじゃなくて、季節性もちゃんとある ということです。
僕は年末対策で何をしてるのか?
正直に言うと、
特別な“年末専用対策”は、ほぼ何もしてません。
やっていることはせいぜいこれくらいです。
・効率が明らかに悪くなったら 広告予算を下げる
・単月で右往左往しないで 「年間」で利益を見る
・「調子悪い月があるのは前提」として割り切る
ブラックフライデーも、特別なセールはほぼやってません。
「気にしてどうにかなるもんでもないよね?」 っていう感覚が正直なところです。
みんなはどうしてる?サロンで出た対策いろいろ
とはいえ、サロン内ではいろんな意見・工夫が出ていました。
いくつか紹介します。
1. モール(楽天など)に任せる
「モールに出しておけば、繁忙期は自然に流入が増えるから、その波に乗る」
自社サイトよりも、
・モール側のイベント
・モール全体のトラフィック増
に乗った方が楽なケースもあります。
年末は「モールに出しているだけで売上が伸びる」業種もあります。
2. 年に1回だけのセールを年末にやる
「在庫整理品だけ、クリスマス〜お正月にかけてLINEクーポンでセール」
・通年は値引きしない
・年末だけ在庫整理を兼ねてセール
この「年1回だけ感」は、世界観を崩さず使える手です。
3. 割引ではなく「非売品プレゼント」で攻める
これはかなりコスパのいいやり方です。
・売価3,000円相当の非売品
・でも原価は100円以下
・お客様からすると「3,000円分も得した!」と感じる
うちでも、
・売価2,000円のコーヒーをプレゼントしても
・原価は500円くらい
なのに、
「そんなにおまけしてくれるの?」って、めちゃくちゃ喜ばれます。
割引より“非売品プレゼント”の方が、感情的な満足度が高くて、原価も軽い。
年末にやる施策としては、かなりアリです。
売上を取るか、利益を取るか問題
今年、僕のところでもこんなことがありました。
・7〜9月:売上は昨対比1.5倍くらい、絶好調
・ただし、決算見たら 利益額は減ってた
「これはマズい」と思って、
・広告費をグッと下げたら → 売上はガツンと落ちた
・ただし利益は むしろ増えた
めちゃくちゃ当たり前の話なんですけど、
「売上だけ追っても、広告費を食い過ぎたら意味ない」
と改めて突き付けられました。
年末の高騰期は特に、
「売上を伸ばす月」と割り切るのか、
「利益を守る月」と割り切るのか
ここを決めておかないと、
中途半端に広告を焚いて、売上も利益も中途半端、みたいな一番ダルい状態になります。
メタ一本でいいのか?他媒体の話
よく出る質問がこれです。
「Meta広告だけでいいのか?
GoogleとかLINE、Yahooもやるべき?」
僕の答えはかなりハッキリしていて、
「Metaやり切れてないなら、他に手を出すな」 です。
理由はシンプルで:
Meta広告:
・めちゃくちゃ簡単とは言わないけど、
・まだ“小規模ECでも結果を出しやすい設計” になっている
Google/LINE/Yahoo:
・設定項目が多すぎる
・タグマネ、GA4、マーチャントセンター…
・ちゃんとやろうとすると、沼&時間泥棒
特にGoogleは、
・P-MAX
・デマンドジェネレーション
・ディスプレイ
・検索
・ユーザーセグメント
…などなど、まともに運用しようとすると、とんでもない工数と検証量が必要です。
僕自身、ずっとGoogleやってますけど、
「予算をガンガン突っ込んでも再現性高く伸ばす」 って意味では、
今でも難しいと感じてます。
だからこそ、
1人ECレベルなら、まずはMetaを徹底的にやり切る方が合理的 です。
Googleの無料クレジットに釣られて、
P-MAXに5万円だけ突っ込んで「1件も取れませんでした」は、
正直、よくあるパターンです。
広告だけじゃなく「コンテンツ」と「商品」もセットで考える
広告コストが上がる時期ほど、
「広告そのもの」よりも「中身」の差が効いてきます。
インフルエンサー施策
売れる時は売れる
でも 持続しない、再現性が低い
インフルエンサー全体の影響力も昔より落ちてる実感
だから僕は、
お客さんが「この店から買いたい」と思うコンテンツ作り
それを 広告でちゃんと届ける
このセットに、改めて時間と労力を振ろうと思っています。
新商品開発も、
・新規獲得のコスパはいい
けど
・在庫管理
・欠品NGのプレッシャー
がキツくなる側面もあるので、
広告とのバランスを見ながらやるのが現実的だなと感じています。
ChatGPTにデータ分析させて「どこに打つか」を決める
最近やって一番感動したのが、
ChatGPTにShopifyのデータを全部見せて分析させたこと です。
渡したデータは:
・注文データ
・顧客データ
・商品データ
これを1年分〜2年分くらいアップして、
僕の悩みをそのまま投げました。
「ロイヤルカスタマーがめちゃくちゃ買ってくれてる一方で、
新規のお客さんがどこで止まってるのかよく分からない。
LTVとCPAの許容ラインをちゃんと設計したい」
するとChatGPTから返ってきたのは、ざっくりこんな内容でした。
・ロイヤルカスタマーの偏り具合
・F1(初回購入)の何%がF2(2回目購入)に行ってないか
・そのF1→F2を引き上げた時、
LTVがどれくらい跳ねるか
だから ここの転換を上げる施策が最優先
その前提で、
・「許容できるCPAはこれくらい」
・「このリストにこういう企画でアプローチすると良い」
正直、そこらのコンサルより全然ロジカル でした。
こういう分析をした上で、
・年間で見たLTV
・それに対して許容できるCPA
を決めておけば、
年末にCPMが上がっても、
「このCPAを超えたら予算落とす」
「許容範囲ならそのままぶん回す」
と、感情ではなく数字で判断できるようになります。
結局、年末の広告費とどう付き合うのか
まとめると、僕の結論はこれです。
・年末に広告費が高騰するのは 構造的に避けられない
だから
・「CPMが上がった…どうしよう…」と悩んでも下がらない
・コントロールできるのは 自分の予算配分と打ちどころだけ
そのうえで、やるべきことは、
1. 年間で利益を見る前提にする
「今月だけ」で良し悪しを判断しない
2. 許容CPAを決めて、超えたら予算を落とす
3. モールやセール、非売品プレゼントなど“使える波”には乗る
4. Metaをまずやり切る。それから他媒体を触る
5. コンテンツ・商品・LTVを強くしておく(ここが本質)
年末の広告費に一喜一憂するより、
「自分がコントロールできるところに集中する」
こっちに時間と脳みそを使った方が、長期的には確実に強くなれます。
