モールで運営してきた人が、自社ECサイトを立ち上げた途端に
「なぜか売れなくなる」というケースを、本当によく見ます。
広告が悪いのか
サイトのデザインが悪いのか
商品力が足りないのか
色々な原因を探しがちですが、僕はもっと根っこの部分に原因があると思っています。
それは、競合との比較構造が強すぎる環境に、長く身を置いてきたことです。
モールは「自己肯定感が下がりやすい構造」
モールでは、どんな商品も必ず他社と横並びで比較されます。
価格
レビュー数
ランキング
販売実績
自分たちがどれだけ商品を愛していても、その愛着とは関係なく、数字で評価され続ける世界です。
この環境に長くいると、少しずつ自己肯定感が削られていきます。
本当は
「この商品、めちゃくちゃ良いよね」
「かなり考えて作ったよね」
と思っているはずなのに、隣にもっと売れている商品があるだけで、自信が揺らぐ。
これは能力の問題ではありません。
構造の問題です。
真似が増え、クリエイティブが削られていく
自己肯定感が下がると、人はどうなるか。
他社を真似し始めます。
価格を合わせる
見せ方を寄せる
訴求文言を似せる
気づけば「どうすればお客様に刺さるか」を自分の頭で考えなくなっていく。
本来、商品開発やEC運営って、かなりクリエイティブな仕事のはずなのに、
比較され続ける環境の中で、その一面が少しずつ削られていく感覚があります。
自社ECで最初にやるべきことは、広告じゃない
だから「モールから自社ECに移行したい」と考えている人が、
最初にやるべきことは、Meta広告でもSEOでもありません。
まずやるべきなのは、
自分たちの商品への愛着を、もう一度取り戻すことです。
・なぜこの商品を作ったのか
・誰の、どんな悩みを解決したかったのか
・なぜ他社ではなく、自分たちの商品なのか
これが言語化できていないまま自社ECをやると、正直かなり苦しいです。
お客様の解像度が、売上を決める
もうひとつ重要なのが、お客様の解像度。
誰に向けて
どんな文脈で
どう提案すれば「買う理由」になるのか
ここを考え抜かずに、
「とりあえずページを作って広告を回す」
をやっても、うまくいきません。
モール出身者の「もったいなさ」
正直な感覚として、モール中心でやってきた人たちは、自社EC中心の人たちに比べて、活動への熱量が低く見えることがあります。
ただ、これはやる気の問題ではないと思っています。
常に比較される環境にいることで、
「どうせ自分たちなんて」
という感覚が生まれやすい構造にいるだけです。
逆に言えば、
自己肯定感を取り戻し、熱量を持って継続できれば、自社ECでも十分に戦えます。
実は、モール出身者の方が強いことも多い
製品開発力
リサーチ力
ここに関しては、モール出身者の方が優れているケースもかなり多いです。
ただ、それが比較構造の中では諸刃の剣になってしまっているだけ。
だからこそ、
・自分たちの商品を、改めてちゃんと愛すること
・お客様の解像度を徹底的に上げること
・自分たちは何をすべきかを整理すること
ここから始めるだけで、自社ECの売上はちゃんと積み上がっていくと、僕は考えています。
