10年間利益を生んでいる三浦の「利益と売上管理術」
「経理ちゃんとやってます?」
…と聞かれることが多いんですが、正直に言うと、僕は経理にほとんど時間をかけていません。
でも、10年間ちゃんと利益を出し続けてこれたのは事実です。
今日は、その裏で僕がどうやって「利益」と「売上」を管理しているのか、考え方と具体的なやり方をまとめておきます。
ポイントはシンプルで、この2つだけです。
1. すぐに状況を把握できる、自分専用の計算式を持つこと
2. 正確かつ、手間をかけずに管理できる仕組みにしておくこと
経理を極める必要もないし、会計用語を全部覚える必要もない。
でも「今どれくらい儲かってるか」「これからどれくらいキャッシュが増減するか」が、自分の頭でざっくり即答できる状態にはしておくべきです。
僕が大事にしているのは「商品軸」と「売上軸」の2本立て
まず、利益管理の基本として、僕はこんなふうに見ています。
① 商品軸での利益率
② 売上(チャネル)軸での利益率
さらにそれを、
・自社サイト(Shopify)
・モール(Amazon など)
のチャネルごとに分けて考えています。
商品軸:この商品は何%残るのかを把握する
たとえばうちだと、
・広告の“表側”で売る商品 → 原価率30%前後
・裏側(リピーター向けなど)で売る商品 → 原価率50%近いものもある
みたいに、商品ごとに原価率はバラバラです。
だから最初にやるべきことはシンプルで、
「この商品が1万円売れたら、決済手数料や送料などを引いたあと、いくら粗利益が残るのか?」
を1回ちゃんと計算しておくこと。
ここができていないと、そもそも利益管理は不可能です。
売上軸:チャネルごとに“ざっくり何%残るか”を持っておく
もう1つは、
「チャネル×トータル売上」で見たときの、ざっくり利益率」を頭に入れておくこと。
たとえば、仮にこんな感じだとします。(数字はイメージ)
・Shopify:売上の 65〜70% が粗利益として残る
・Amazon:プラットフォーム手数料が重いので、55%前後 が粗利益として残る
この感覚を持っておくと、日常の判断が一気に楽になります。
「今月いくら残るか」を即答できるレベルまで落とす
具体的には、僕はこんな感じで考えています。
例えば今月、Shopifyで 売上800万円 行きそうだなと思ったら
→ 「粗利率65%なら、520万円が粗利だな」と即計算
そこから「メタ広告300万円使ってる」
→ 「じゃあ220万円が今月の利益感だよね」とざっくり把握
Amazonも同じで、
・Amazon売上200万円
・利益率55% → 粗利110万円
・Amazon広告20万円 → 手残り 約90万円
このぐらいの計算を頭の中か、簡単なExcelで即出せる状態にしてあります。
なぜここまで“即計算”にこだわるのか?
理由はシンプルで、
・次のプロモーションにいくら突っ込んでいいのか
・今の自分の事業の健康状態が良いのか悪いのか
を判断するのに、いちいち細かい資料を作っていたら遅いからです。
「今月これだけ売れてるんだけど、利益どれくらい出てるかわからないんですよね」
この状態は、マジで危ない。
**“ざっくりでいいから、自分の感覚と数字をすぐに答え合わせできる状態”**を作っておくべきです。
キャッシュフロー管理は「月初と月末の残高」を見るだけでいい
次に大事なのがキャッシュフロー(入金と出金)。
僕がやっているのはかなりシンプルで、
1. 月初の口座残高をメモ
2. 「今月はこれくらい売上が立ちそうだな」というざっくり想定
3. Shopify・Amazon・決済会社ごとの入金予定額をざっくり見積もる
4. 発注・外注・固定費などの大きな出金予定もざっくり足しておく
5. 月の途中(10日後くらい)にもう一度見直して、着地を修正
さらに、
・3ヶ月後くらいの残高感もざっくり予測
・「ここで大量発注したから、今は残高減ってる。でもこの在庫は後で売上と利益になるよね」と把握する
こんな感じで、常に“今〜数ヶ月先のキャッシュの流れ”をざっくり掴んでいるだけです。
ここまでやっておけば、
「なんか気づいたらお金が残ってない」という状態にはなりにくいです。
ツールは増やさない。Excelベタ打ちで十分
よく「何の会計ツール使ってますか?」と聞かれますが、
僕はExcelベタ打ちです。
・口座残高
・売上のざっくり着地
・大きめの出金予定(仕入れ、外注費、税金)
これをシンプルなフォーマットで管理しているだけ。
ツールを増やすと、逆に管理が複雑になって本末転倒になることが多いです。
僕が徹底している“めんどくさい経理を生まない設計”
・現金払いを極力しない(クレカ払いに一本化)
・請求書払いが必要なサービスは、可能な限り避ける
→ 「請求書発行が前提なら、そのツール使いません」と断ることも普通にある
・楽天をやめてShopify+Amazonに絞った理由の一つも、
「請求書・入金管理をシンプルにしたかったから」
結果として、3ヶ月に1回の決算用資料作りも30分くらいで終わるようになりました。
経理は「頑張るところ」じゃなくて、「どれだけ手間を減らせるかを考えるところ」です。
会計は「PLとCF」で十分。BSは読めなくても死なない
よく「BSも見ないとダメですよ」と言われますが、
正直に言うと、僕はバランスシート(BS)読めません。
でも、スモールビジネスで地に足をつけて回していくなら、まず大事なのはこの2つだけです。
PL(損益計算)=その月いくら儲かったか
CF(キャッシュフロー)=お金が増えたか減ったか
この2つが把握できていれば、
最初の数年はそれで十分だと本気で思っています。
在庫と利益は「3ヶ月 or 1ヶ月に一度、棚卸しして税理士に投げる」
在庫が絡むと、利益計算は少しややこしくなります。
そこで僕は、
・3ヶ月に1回
・気になるタイミングなら1ヶ月に1回
くらいのペースで、
1. 在庫の台帳(棚卸し)を作る
2. 税理士さんに渡して「この内容で利益計算しておいてください」と丸投げ
という形にしています。
自分で完璧な数字を出そうとする必要はなくて、
方向性と粗利率の感覚を自分が持つ → 最終調整は税理士に任せる
この役割分担がちょうどいいです。
原価に「人件費や家賃」を入れるな
これもよく聞かれるポイントです。
「原価に、工房の家賃や人件費も入れた方がいいですか?」
個人的な結論は NO です。
やるべき計算は、
1. 売上
2. − 商品の原材料費
3. − 決済手数料
4. − 送料 など
5. → 粗利益(と粗利率)を出す
まずはここをきれいに分けること。
そのうえで、
粗利益が月100万円なら、そこから
・家賃
・人件費
・その他固定費
を引いていけばいいだけです。
原価に何でもかんでも突っ込むと、
「そもそもこの商品はどれだけ“商品として”儲かってるのか」が分からなくなります。
領収書に振り回されないための考え方
領収書まわりも、みんな真面目にやりすぎです。
・領収書は半年以内に写真を撮って電子保存しておけばOK
・注文完了メールでも、要件を満たせば証憑として認められる
・実際に使った事実があり、説明できるなら、
手書きメモ+状況説明で経費にできたこともある
「領収書の紙がないと全部アウト」ではありません。
大事なのは、
「その支出が本当に事業のために発生したのか、説明できるかどうか」
この“原理原則”を理解しておくと、
いらない紙を溜め込んだり、いらない作業を増やさなくて済むようになります。
外注費・売上は「年間平均で見る」クセをつける
外注費が増えるフェーズに入ると、
どうしても「支払いが一気に増えた」感覚にビビります。
そこで僕がやっているのは、
・月ごとの外注費を全部並べる
・「年間(もしくは半年)の合計 ÷ 月数」で平均外注費を出す
・「自分の外注費はざっくり月○万円」とルール化してしまう
売上も同じで、
・月ごとに「良かった月」「悪かった月」だけを見るのではなく、
・年間売上 ÷ 12 で「自分のアベレージ」を把握する
これをやると、
・今が“たまたま良いだけ”なのか
・それとも“地力が上がってアベレージが上がった”のか
が見えてきます。
税理士は「細かさ」よりも「会話できるか」を優先する
税理士との相性が悪くて悩んでいる人も多いです。
・報酬が高い
・コミュニケーションが取りづらい
・アナログで効率が悪い
こういうケース、めちゃくちゃ聞きます。
僕のスタンスはシンプルで、
・自分でやるより税理士に任せた方が安い領域は素直に任せる
・期待している役割を自分の中で明確にしておく
・ITリテラシーが低すぎる税理士は、無理して付き合わない
「完璧な税理士」はなかなかいないので、
**“会話ができて、必要なところだけきっちりやってくれるか”**を基準に選ぶといいと思います。
まとめ:経理は「削るべき仕事」。本気を出すのはそこじゃない
今日の話をまとめると、
・利益管理の本質は、「即ざっくり答えられる状態」を作ること
・商品別・チャネル別に、粗利率(%)を頭に入れておく
・月初・月末の残高と、数ヶ月先のキャッシュの流れをざっくり見ておく
・経理のためのツール・請求書・現金決済をできるだけ減らす
・細かい整理は税理士に任せて、自分はPLとCFに集中する
・外注費や売上は「年間平均」で自分のアベレージを掴む
経理は「頑張る場所」じゃありません。
**“いかに手間を減らして、本気を出すべきところに時間とお金を回せるか”**が勝負です。
もし自分の数字管理がモヤモヤしているなら、
今日書いたどれか1つでいいので、今月から取り入れてみてください。
